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感激の観劇 ~SANEMORI~

はじめに

2023年1月7日(土) 夜の部
初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム「SANEMORI」を観劇したいち宮舘さんファンによる、自分的備忘録のためにまとめたとりとめのないメモです。(Twitterに書いたことも重複して書きます)
⚠️⚠️⚠️演出などのネタバレにあたるような内容もあります⚠️⚠️⚠️

歌舞伎は初心者ですし、いろいろと間違っているところもあると思いますが、それでも良いという方のみ、雰囲気で受け取っていただければ幸いです🙇🏻‍♀️

(追記)2023年1月24日(火) 昼の部で再度観劇する機会を持てたので、訂正と追記をしています。太字にします。
あくまでもストーリーや幕の流れに沿ったレポ、解説ではなく、私が印象に残ったことを徒然に書いた「感想」ですので、話があちこち飛びます。一応段落分けしたのですが読み返したらあんまり分かれてなかったので、そのあたりも雰囲気で、広い気持ちでご覧下さい。🙇🏻‍♀️

宮舘さんについて

初めに印象深かったのは、宮舘さんの声が本当によく通って響いて聞き取りやすかったこと。義仲の時は若々しい凛々しさと溌剌さを感じ、義賢の時は静かなる熱さ、そして精神的にも肉体的にも苦しい様が息遣いからも感じられて凄まじかった。

1階とはいえかなり舞台からは遠いお席だったのに、見得を切った時の呻きというのか、そういう小さいであろうお声までしっかり届くのでものすごい迫力がありました。

Twitterに書いた感想より

宮舘さんのセリフ自体は敢えて現代の口語調に寄せられていたこともあってか、より聞きやすかったし、それによってストーリーの大筋が分かりやすかったのでとてもよかったと思います。初心者に優しい脚本。

声の表現で特にすごいと思ったのは、一番は見得を切った時の唸り声。当日は肉眼と双眼鏡を取っかえ引っ変え見ていたのですが、双眼鏡覗いて表情の細やかな演技を堪能してる時に、まるで近距離でスマホからイヤホンで聞いているのかと思うほど鮮明に唸り声が1階最後部まで届いたので、一瞬、感覚がバグったかと思った。

(これについては(舘様に限らず)マイクが入っていたとかいう書き込みも見かけたので、そういう事なのかもしれません。が、どちらにしてもよく聞こえることには違いないし、独特のセリフ回しも相まって言葉が聞きとれないことはあると思ったので、初心者にとってはそう言ったストレスを抱えるより100倍良く、これからも大手を振って褒めたいと思う)

(追記)やっぱり本当によく通る良いお声でした。歌舞伎はお席によってはお顔が見えない場所もあるけれどどの席にいても声は届く、というお話を前日にYouTubeで拝見していたのもあり、あらためてお声をしみじみと堪能しましたが本当に聞き取りやすくて、柔らかいのに力強くて耳に気持ち良い良い声だなぁ…大好き。

そしてやはりその身体能力を活かした立廻り、戸板倒しや梯子といった公開舞台稽古で披露された大技以外にも、つい「すごい…」と口の中で声が漏れてしまうような場面が多々あり、そしてそれが「舘様だ」という邪念(笑)抜きに、ただただ固唾を呑んで見入ってしまうようなものばかりで。なんてすごい役者。

最後の割れんばかりの拍手は本心の感動だよ。

Twitterに書いた感想より

立廻りは、特に序幕のはじめはど真ん中にいて襲いかかってくる周りの軍勢をばったばったといなして行くみたいな表現が多かったので、そうか、これが歌舞伎で中心に立つ役の人の殺陣なのかと思いながら漠然と見ていたのだけども、義賢最期での大立廻りでナタを両手で交互に持ち替えながらひらりひらりと切り進んでいく所作が本当に本当に美しくて、ぽーっと手元に見とれてしまいました。

あとは片膝立ちの状態のままで片足を擦りながら敵を切りつつ舞台の端から端まで進んでいく…みたいな殺陣も物凄く格好よかった…これも何か名前があるのでしょうかね、技の。🤔

殺陣の敵役の方々もアクロバットなアクションがバンバン入ってきてて、切られた相手もバク転したりクルクル回る!
大技としての戸板倒しとか梯子もあったから、歌舞伎役者さんってもしかしてそういう身体能力めちゃくちゃ必要なの!???と思いながら見てましたが、さすがにそれはそういうスキル持たれている方(新体操とかアクションチームの役者さん)が入られているんですね、納得。
それも古典と現代劇の融合のひとつなのか、宮舘くんが出ているからそういう要素を強くするためなのか?なんにせよ見応えがありました。

そういう方々との立廻りの中で印象に残っている宮舘さんの見せ場は、なんていうんだろう…コサックダンス?みたいなしゃがんだまま足(というか膝)を交互に出すダンスみたいなの(義仲で甲冑をつけて1回、義賢で1回だったと思います)を見るからに重い甲冑を着けたままやってのけていたり、敵の相手役の方に乗って跳んだり、その後、高いところで見得を切ったり、最後の最後、とんでもなく大きな白旗を応援団旗のようにばっさばっさと翻す様子もものすごく様になっていて、あれって絶対すごく重いし空気の抵抗受けて思うように操れないものだよなぁ、すごいなぁ…と感心しきり。とにかく身体能力がやっぱりすごい。アクロバット的(殺陣)なことや柔軟性(逆仏倒れというらしい、あれはアレで良いもの見せてもらったと同時に、毎日2回の(お顔からの)仏倒れなんて怪我しないかなと思ってたので若干の安堵)だけでなく、ダンスでも感じる言わずもがなの体幹や体の止めの美しさ(見得の決まりっぷりがかっこいい)っていうのがしっかり発揮されていて、宮舘さんが出てくるとほんとに目が離せなかった。
身体能力なんて言うと恵まれた体の持ち主だからみたいにもとれちゃうけど、それを存分に活かせるのは積み上げたお稽古の結果であり、宮舘さんの誠意と熱意の賜物だと思うので、それを生の舞台で見せていただけるのは本当にありがたいこと。感謝しかありません。

(追記)今回新しく印象に残ったことがひとつあって。最後の場面、実盛を弔う場面に義仲、太郎たちが横に並んで手を上げたり胸の前で三角を作ったりといった舞のような表現があったのですが、そこの宮舘さんの型、もの………ッッすごく綺麗だった。うわ、流石だ…私が宮舘さんのダンスの表現で好きなところがそこで生きていて妙な感動がありました。ああ、宮舘さんだぁ〜🤦‍♀️って。ほんとに綺麗。

…と、長々と感慨に耽ってしまいましたが、ここで個人的な大歓喜ポイントを。
大詰めでは、それまでほぼ花道は舞台近くまでしか使っていなかった義仲様が客席降りで1階の通路を使って一周しました。道中、敵を追う形で花道奥まで進み、そのまま1階客席後方の通路を駆け抜け………

まさかの、私の座っている席の真後ろで
止まって!! 見得を!! 切った!!!

(えー!?!?宮舘くんすぐそこにいる…!😭息ができない…)

これはかなりの幸運でした…最後列ではなかったのもあり逆にしっかりお顔と所作を見られる距離で特等席だった…1mくらいのとこにいた…🥹息遣いもめちゃくちゃ聞こえたし臨場感がすごい。(ちなみに1階17-18番あたりの真後ろでした。)
そのまま上手通路を通って舞台に戻る途中で24-25番の肘掛けに立ってさらに見得を切る義仲様。ひぇ~。なんにせよかなり客席の近くまで来て下さるので近隣席の方はうわぁあ~…となること間違いなしです。

ちなみに私の席は1階のほぼ一番後ろの列でしたが、ちょうど真っ直ぐ見ると舞台の真ん中というような場所で、宮舘さんが舞台上で真っ正面を見据えて立ったときや、花道で後方中央に向けて見得を切った時などに「義仲様、今こっち見てる…目、合ってるんじゃないの…🥹」という錯覚を起こしそうなくらい視線も感じとれるような距離感の会場だったことも残しておきます。やばい。

(追記)2度目の観劇はもう少し前の列で、花道からは遠目のお席でした。想像していたより、数列前になるだけで舞台がよく見える…!そして少し花道から離れていた方が花道での演技の全容がよく見える…!!前回あまり良く見えていなかった花道での立廻りが綺麗に人の頭を抜けて見えたのでとても嬉しかったのと、花道のスッポンあたりで切る見得がちょうど真っ直ぐこちらを見ているように見えて、またうわぁぁぁ✨となったり。角度が違うと見え方も変わって演技の面で新しい発見も多く、とても楽しめました!

客席降りの場面も、今回は冷静に全体を見られました。あらためて前回あまりの近さにパニックになっていて前後の記憶も宮舘さんの周りの景色も全く見えてなかったんだな、ということがわかったり(笑)。

あとは一度見て流れがわかるからなのか、イヤホンガイドをお借りしたからなのか、公演回数を重ねられてお芝居も成熟しているからなのか(あるいはその全てか)、義仲からも義賢からも、前回よりも心に訴えかけてくる思いのしんどさがあった。表情の演技から感じる心の機微も、お声から感じる感情の色合いもかなり強くなっていて、それによって実盛をはじめとした周囲の方々との関係性も色濃く見えてくる感じがしました。すごい…。

大道具と舞台装置と演奏

話は全く変わりますが、年代なのか地域なのか分からないけど、学生時代に歌舞伎の鑑賞を授業で経験したって方は割といらっしゃるようですね。でも私は全く学校でそういうことに触れる機会はなかったし、SANEMORIが決まった時に、SANEMORIの前に何か見てみたいものだと思って観劇した10月の大歌舞伎が初めて。(滝沢歌舞伎もMOVIEをテレビで見たのみ)

その次の観劇がもう「SANEMORI」。
なので、古典、伝統的な歌舞伎がどういう物なのかは(予習はしたものの)よく知らずに見ていました。

人生2回目の歌舞伎という意味では、ベースは古典で“伝統を継承”しつつも、“新時代の歌舞伎の創造”に挑戦されているからなのか、それどうやって動いてるの!?と思うような演出、大道具が沢山あってめちゃくちゃ華やか!

Twitterに書いた感想より

大道具で初めに驚いたのは布(水布、浪布)を使った水の表現。凄いねぇ、あれ。これって別に新時代とか関係なくて昔ながらの手法だけれど、ああいうアナログな大道具で本当に水の上にいるように見える。今はCGとかVRとかでいくらでもリアリティ持たせられるけど、江戸時代からのお芝居のアナログな表現というものがこんなにも想像力をかき立ててくれるんだなと、そこにも感動していました。

そして小舟や大船、大小数々の船があたかも水面に漂っているかのように無秩序に動いたり回ったりしていて、それどうやって動かしてるの!?と興味津々。舞台装置として床はぐるっと大きくは回るとは思うんだけど…それだけであんな動きにはならないよねぇ??とそっちが気になってしまう始末。紐でも引いてるのかな?不思議🤔
船で言うと(船じゃなかった、あれ)、大詰めで團十郎さんの乗った絢爛豪華な装置が客席に向かって前進してくるシーンは本当の距離感よりも目の前まで迫ってきているような迫力ですごかったです。どういう目の錯覚なんだろう、それとも世界観に浸ってしまったが故に脳がバグってるのかな、すっごく飛び出してくるみたいに見えた。

もう1つ大道具的なもので気になったのが、透ける幕(追記:紗幕というらしい。2度見てもよく分からない幻想的な演出だなぁと思ったのですが、雑誌のSANEMORI舞台レポ見てやっとわかりました)の表現。團十郎さん演じる実盛を誤って討ち取ってしまったことを悔やむ義仲と太郎に語りかける、「空中に浮かぶ実盛」。どうなってるんだろ…?映像じゃないよね?たぶん2階みたいな建具の前に光当てると透ける幕垂らして演じてらっしゃるのかな?と。1つ前の場面でも透ける幕を使ってたと思うのでそれなのかなと思ったのだけど…この辺りわかる方がいらしたら教えてください。もう少し前の席だとわかるのかしら…よくわからなくて頭にハテナが浮かんでめちゃくちゃ見てしまった。
なんにせよ幻想的でとても良い場面だったので次は邪念を払って見たいところ。

一方で「床」や「文楽回し」、花道の「セリ」など元々の舞台装置も初めて見たので興味深く。歌舞伎とは関係無くお寺にある偉い人がお忍びで来る隠し部屋とかを思い出す私(なんのこっちゃ)。人生で経験したことの無いことが経験したことと繋がる気持ちよさも個人的に感じてた。

Twitterに書いた感想より

私の席からは花道の足元付近は見えづらかったので、まさか花道に出た宮舘さんがスッポン(花道にあるセリ)の中に消えていくと思わなくて結構びっくりしました。そんなとこにもセリがあるんか!と。

三味線や太鼓、太夫の語りも美しくて、世界観を繋げてくれていました。長唄や鼓の演奏が「黒御簾」(下手の御簾)から、竹本の語りが「床」(上手の御簾)から、それぞれ見えないところから奏でられてくるっていうのも初心者にはとても面白いなぁと興味深く。ただ長唄はそれだけ聞いていてもどんなストーリーを歌っているのか理解まではできなくて、この辺はイヤホンガイドがあった方が分かりやすくて良さそうですね。

(追記)二度目の観劇、イヤホンガイドお借りしてみました。歌舞伎としての型の意味や小道具の見どころの説明があったり、竹本の語りの言葉を先回りして教えてくださるのでちゃんと言葉が聞き取れたり、あ〜そういうところにも意味があるのねというのを理解しながら見られるのはとてもよかったです!解説の方が2019年のABKAIを見てからSnow Manのファンでいらっしゃるというお話もされていたので、よりイヤホンガイドを借りるメインの層は楽しく聞けたのかなと思います。もちろん役者さんがメインでお話されているときは解説はなく集中できるようになっていたので一度借りてみて損は無いかなと思いました。

(ただこれは私の好みの問題で、やはりお話をされていなくてもイヤホンを片耳にさしているのと両耳で生の声を聞くのでは耳に届く声の臨場感が段違いで…つけたり外したりなかなか忙しかったので説明を聴き逃しているところも多かったんだろうと思う。難しいところ🥹)

あと今回ほんとに自分の気持ちの余裕があったのが分かったのが、効果音がものすごくよく聞こえたこと!舞台上手の端、見えるところで「ツケ」(拍子木みたいな板を床にうちつけたりして音を鳴らしているっぽい)を鳴らしているの、前回はちょうど席的に見えなかったのかなぁ、初めて存在自体に気づいた。あとはガイドで教えてくれていた、振り回すと音の鳴る刀とか。そういう音がもたらす演出効果がすっと入ってきて、より世界に没入できた感じがしました。ほんとに和の総合芸術というか、単に「歌舞伎」という一言で括ってしまうことは出来ないんじゃないかと思うくらいあらゆるプロたちの力が組み合わさってできているものなんだなと感じられたのは幸せな時間でした。

演者の方々

中村児太郎さんの小まん、めちゃくちゃカッコ良い女子(おなご)だった…!動かれているお姿の方がお写真より女性を感じるし、お美しいのね…!
初めての歌舞伎の時も思ったけど、歌舞伎だからこれみんな男性なんだよね?って頭の中で1回整理しないと忘れかけるくらい所作が女性より女性。女形ってそういうものだと言われてしまえばそれまでなんだけどもね。

あとから筋書きでよく確認したら、小まん・巴御前を演じられた中村児太郎さんと、葵御前を演じられた大谷廣松さんは、宮舘さんと同年代なんですね。
おふたりとも女形がとても素敵だったのでまた見てみたい。

あと初めて歌舞伎を見た時にも思ったのが「歌舞伎って自由だな」ってことだったんだけど、今回の脚本でも腰元四人衆が「舘様のような色男」とか「すのうまん」みたいなセリフが入ってたり、あ、そういうアレンジとかは全然いいんだなと思って聞きました。会場もそこはくすくすしてました。
そういう明らかに舘様ファンに寄せたセリフ以外も、古典の部分でも難しいばっかりじゃなくて実盛や瀬尾のクスッとしてしまうようなおちゃめな動きの表現とかセリフのやりとりがあったりして、歌舞伎は楽しいエンタメだなという感想を抱けたのは個人的にはかなりの収穫。

(追記)公演期間の中で、腰元の方やアクロバットチームの方などがSNSで日々情報発信してくださっていたのもあり、より演じてらっしゃる方々を身近に感じたというか、その方々のことも認識した上で見られたという楽しさも増えました。分かればわかるほど楽しいんだろうなぁほんと。

あとすっかり書きそびれていたのだけど、初回の時ほんとにビックリしたのが「馬」!ガイド聞いてわかったけどあれも中で演じている方々歌舞伎役者の方なんですね…すごい。初めほんと足見るまで本物かと思ったし(笑)、分かっていてみてもやっぱりすごい表現だなと思います。だって人2人乗れるんだよ?そういうお稽古もあるんだと思うと本当に習得するべき芸の幅が広いなぁと、驚きしかありません。

今でこそ「古典」だなんて古き良きものみたいに感じていたわけだけど、歌舞伎そのものは「傾奇者(かぶきもの)」なんて言葉の通り、当時の感覚で言う奇抜であったり派手で新しいものであったのだろうと考えると、現代の新しいことをどんどん融合させて行って表現の仕方を広げていくのは、伝統や文化の正しい継承の在り方のひとつなのだろうと感じた。そういうことに触れる機会を作ってくれた宮舘さんは本当に文化の継承に一役も二役も買っていると思うのでここでもスタオベしてあげたい所存👏

スタオベと言えば当日はカーテンコール4回目でスタオベとなり、それはそれはもう目いっぱい腕が疲れるくらいに途切れない最大限の拍手をしました。会場が割れんばかりの拍手の中、最後に團十郎さんが両手を顔の横に寄せてフリフリすると、宮舘くん初め演者の皆様で手をフリフリ。それに応える形で会場も拍手をやめて手をフリフリし始めて拍手が一気に小さくなったのは面白かったです。それにしても、お手振り舘様は「みやだてくん」に戻ってて可愛かったな…🥹

(追記)二度目の今回はここもよく見えたのか、最後に團十郎さんが、宮舘さんを促して少し前に出ての礼をされていた時もかなり感動してしまったし、その後團十郎さんがご挨拶されている時に宮舘さんが児太郎さんらと目を合わせて両手を胸の前でぎゅっと握ってニコニコしてたのは舞台にも共演の方々とも良い関係で慣れてきてるんだなぁって感じてすごくグッときた。

團十郎さんはオーラ凄いし美しかったけど宮舘さんも全然負けてない。本当に堂々と凛々しくて華やかで違和感がない。おひとりで立つような場面も画や間が持つ。最後の場面の團十郎さんは神々しささえあり、宮舘さんを呼んでくれて本当にありがとうという気持ちになった。

Twitterに書いた感想より

話を戻して。宮舘さんが想像以上に素晴らしく誇らしかったので⬆のような表現をしましたが、もちろん團十郎さんと歌舞伎の舞台という意味で比較していいようなものでは無いとも思っていますし、團十郎さんの優雅な空気感と美しさ、大詰めで見せたその神々しさは圧巻でした。
宮舘さんが力強い「動」の表現だとしたら團十郎さんは麗しい「静」の表現という対比。

いずれにせよこの大舞台での大事なお役目に宮舘さんを選んでくださったことに感謝しかないなぁと心底感じる、良い舞台でした。

(追記)二度目の観劇でいちばん良かったなと思ったのは、團十郎さんの素晴らしさ。というか、それをきちんと享受できるような精神的余裕がある状態で観劇できたこと、というべきか。

あらためて前回の私は、宮舘ショックというか想像を超えた歌舞伎役者としての宮舘さんの堂々っぷりに全神経持っていかれてしまい、物語における人物像を咀嚼しきれてなかった部分も多かったんだな〜と感じております。
あと(私の)記憶は当てにならない😂

派手さで言えば宮舘さんが主役にも見える大活躍だけど、やはりこの物語は軸に團十郎さん、斎藤実盛という人があってこそで。
最後、花道に立つ義仲が実盛を見上げて頭を下げる、そのお二人の姿を見た時に頭殴られたみたいな理解が訪れて涙が。

Twitterに書いた感想より

いうて、初回の観劇だって自分なりには隅から隅まで堪能したし、覚えている限りを残したつもりだったんですが、まあ色々思い違いはありましたし、やっぱり舘様に浮かれていて、その予想以上のすばらしさにビックリしてたというのが大きかったんだと思う。あとは席の違い、イヤホンガイドの有無もあるのでしょう。

團十郎さんの、静かだけれど美しく目力のある見得(睨み)、細やかな足さばき、幼い太郎吉とのちょっとコミカルだったり微笑ましいやり取りでの柔らかい笑み、もちろん型としての素晴らしさもあるんでしょうがそこは詳しく分からないのでなんとも言えないものの、分からない人にも訴えてくる美しさ、優美さ、厳かさが前回よりもダイレクトに感じられて、あぁ、これが歌舞伎役者か…という納得と尊敬を感じました。

物語としても、今回は流れや意味合いがある程度わかった状態だったので、團十郎さん演じる斎藤実盛という人が源平の騒乱の中にあってどれだけ難しい位置にいたのか、またその状況においてもなお源氏への忠義を持ったままで最期までいたこと、義仲や太郎が実盛への恩義を感じている事実と、結果的に太郎が実盛を討ってしまった後に義仲がたどり着く結論まで、頭ではなく気持ちとして受け取れた感じがして、苦しくなったり。

前述の引用の通り、最後、はける前の義仲が舞台の真ん中で装置に乗っている実盛を見上げて目を合わせ礼をする、その場面を見た瞬間にそこまでこの物語が脈々と描いてきた「源氏の白旗を守る」ということに掛けている様々な人達の思い、気持ちが全部繋がった感じがして、頭殴られたみたいな感じで涙が出た。

そこまで来て初めて、そう、この演目のタイトルは「SANEMORI」なのだと、斎藤実盛その人が守ってきた信念(忠義)を中心にこれだけの人間模様が展開されているのかとゾクッとして、場面の多さや派手さだけでは見えていなかったひとつの演目の流れとしての理解が深まった感じがして、とても自分としては有意義な観劇になりました。ありがとうございます。

物語について

ストーリーやキャラクターに関しては、「源平布引滝」「義賢最期」「実盛物語」をサイトで予習していたので、ここはこの場面なんだろうな、ここの表現は今回は圧縮されてるんだな、と理解しながら見られました。SANEMORIという脚本において通常歌舞伎では使われる機会の少ない(らしい)部分を補完して流れがわかるように再編してくださっているからという部分もかなり大きそう。

流れの理解にはこちら⬇の村歌舞伎の動画もかなり役に立ちました。

恐らくこれは脚本としては古典に忠実にされているのだろうと思われ、理解の解像度がだいぶ高まりました。(本当は元日にBSでやっていた義賢最期を見るつもりがすっかり録画を忘れたので😭)これをみて、こういうシーンもあるなかなと思った部分が省かれていたり演出が大きく違っていたりと、あくまでも古典はベースであり、新たな「SANEMORI」という演目になっているのだなと思ったのも理解が深まった感じがしました。

(追記)一度観劇後、こちらも拝見しまして、歌舞伎というエンタメの楽しみ方として間違ってなかったわーとほっとしたり共感したり嬉しかったりしたので貼っておきます。


ところで私、観劇当日、泣きはしなかったのです。

たしかに私自身は元々感動とか悲しいドラマ映画で泣くことがほぼなくて、泣くのは何かを必死に頑張った人のドキュメンタリーのみ、更には歌舞伎初心者でこれまでにお話してきたような様式美とか所作といった形の部分に目と意識がいってしまっていたせいもあるのかもしれないなと。泣いたって言ってる方、割と舞台とか歌舞伎を見慣れてらっしゃる方のような気がした。

では感情移入、感動がなかったかと言うとそんなことはもちろんなくて。私は義賢最期の苦しさよりも、義仲と太郎が実盛を討ってしまったことを悔やむものの実盛(の霊)の言葉で気持ちを持ち直し、最後には源氏の大きな白旗を誇らしく大きな動きで掲げる義仲の姿に胸がぎゅーーっと苦しくなった。そこで1番、涙を堪える1歩手前くらいまで感情が持っていかれる感覚はありました。病気とかじゃなくて「物理的に胸が苦しい」と思うくらい、心臓がきゅーーーーーーっとなって、喉が狭まったような苦しさがありました。二度見たら次はまた違うものを受け取れそうな気がします。

(追記)義賢様…ッ!!!苦しさ、無念さ、前回より格段に受け取れました…すんごい、もうほんとすごかった。息遣いという話は前にも書いたけど、息遣いなんてもんじゃない、ゼイゼイハアハア。立廻りが激しいのでもちろんそれだけ考えても息が切れそうですが、逆に演技としてやるのであればその呼吸だけで疲労が倍増するであろうくらいの気迫、緊迫感。それ故に愛する人を助けるための今生の別れ、子を一目見たかったという無念の思い、そういうものがダイレクトに飛んできて、しんどかった。


ここまで書いてみて、当日「宮舘くん、頑張ったんだなぁ」を感じたはずなのに泣かなかったのはある意味私にとっては珍しい…と矛盾を感じたのですが、それだけ美しさや迫力への感動と歌舞伎そのものへの興味、物語としての面白さが勝ったということなんでしょう、よいものを魅せてもらいました。

最後に

あまりにも宮舘さんの歌舞伎役者としての映えっぷりが素晴らしくて、もう是非これを今後も続けていただきたいなぁと感じています。
現役バリバリのトップアイドルとの両立は本当に大変だと思うけれど、ご本人が望まれた和の文化に触れるお仕事、ここを足掛かりに(なんて言うのもおこがましいくらい大きくて素晴らしいお仕事をされたと思っていますが)広がっていくと嬉しいなぁと思うのでした。

あと歌舞伎は本当にまた見に行こうと思います。

以上(2023.1.11)(2023.1.25追記)


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