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交響曲1-12 2022.10.23
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲12曲全集、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。スロバキアの作曲家。初期のものはなんとなくブルックナーに似ており、それが徐々に新古典主義派で軽快なタッチに変わり、5-7番ではとても幸福そうな印象。ところがプラハの春を主題にした8番では一転、深刻でショスタコーヴィッチ風の冷たさを感じる。

交響曲1-12 2022.10.23
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

9番以降は、8番の余韻を引きずりながらも作風は現代的で軽快、活気のあるものに戻る。もうブルックナーは聞こえてこない。ショスタコーヴィッチほど冷たく劇的ではなく、軽快なタッチもあって洗練されてきた感がある。5-7番の楽し気で活気のある作風に加え、9番以降で本来の軽妙さや行進曲風の作風が定まったように思う。

交響曲1 2022.10.20
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲1番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。ほの暗く始まり初期のブルックナーのようなフレーズ。弦が心地よく流れ、金管が盛り上げる。密やかで沈んだ感じから展開する2楽章、3楽章のスケルッツオも少しブルックナー風、4楽章は静かに神秘的に始まり徐々に盛り上がって終わる。

交響曲2 2022.10.20
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

モイゼス 交響曲2番、スロヴァーク/スロヴァキア放送響。2楽章形式。強烈な出だしより緩急、静動の繰り返しでちょっと現代的、時にロマンチック、どうも脈略がない。2楽章も同じようなパターンで進む。時折、思い出したように勢いづいて行進曲風になるのは、これ以降の曲にも共通する。印象的なメロディーはなくあっけなく終わる。

交響曲3「マーラ・シンフォニア」 2022.10.20
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲3番「マーラ・シンフォニア」、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。小曲を集めたような曲。劇的な出だしが繰り返される1楽章、ゆったり静かで穏やかな2楽章、3楽章は風変わりなスケルッツオ、神秘的でロマンチックな4楽章、5楽章はフィナーレというより曲全体の要素のまとめのよう。全体的に軽い印象。

交響曲4 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲4番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。3楽章形式。不気味な弦にTrpミュートのファンファーレで始まり、緩急、静動を繰り返し行進曲風に盛り上がる。2楽章は透明感のある静かな起伏、3楽章は少し明るさもあり分厚いワルツから軽めに盛り上がって終わる。

交響曲5 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲5番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。1楽章は上品で明るい行進曲。2楽章は静かで穏やかな起伏があり、3楽章は明るく軽快でかわいいワルツで、中間部は重く盛り上がる、4楽章はスピード感のある行進曲風。明るく軽快なわかりやすい曲。

交響曲6 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

モイゼス 交響曲6番、スロヴァーク/スロヴァキア放送響。1楽章は民謡的、情緒的で2分弱と短い。2楽章は弦と木管による早く細かな動きが行進曲風に明るく盛り上がる。3楽章はFlとHarpより幻想的に漂いHrnの叫びで盛り上がる。軽くおどけた4楽章、5楽章はリズミカルでお祭り的雰囲気にゆったり幻想的な情景が交差する。

交響曲7 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲7番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。FiとHarpの朝の情景から弦楽合奏で盛り上がる。切れ目なく始まる2楽章では少し東洋的な雰囲気の主題が展開される。3楽章は静かな3拍子から徐々に盛り上がりHrn,Trpで頂点となる。4楽章はVn、Harpの中間部を挟み軽快に盛り上がって終わる。

交響曲8「1968年8月21日」 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲8番「1968年8月21日」、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。プラハの春翌年に作曲された。少しショスタコーヴィッチに似た雰囲気もあり不穏で暗い影がある。遠いTrpミュートのファンファーレ、落ち着かないリズム、金管とPercの激しい咆哮と不協和音、静寂と不安が入り混じる。

交響曲9 2022.10.21
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲7番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。作風は一気に冷えて現代的になる。スネアやPercのリズム、不協和音、ひきつったような弦、弱弱しい静寂が方向性の見えない不安や悲痛さを表す。ショスタコーヴィッチほどの激しさや厳しさはなく、どこか冷めた感じがする。

交響曲10 2022.10.22
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

モイゼス 交響曲10番、スロヴァーク/スロヴァキア放送響。新古典主義派の趣が強くなり現代的で冷たいタッチとなる。2楽章は躍動的な掛け合い、3楽章は穏やかな弦とHarpにHrnソロが歌うあたりはチャイコフスキー5番のよう。ショスタコーヴィッチのような盛り上がりも少し見せる。不安に始まる4楽章は行進曲風に終わる。

交響曲11 2022.10.23
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲11番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。重苦しいTimpの打ち込みより寂しく始まり徐々に活気を帯びる。2楽章は軽快、軽妙に進む。遅く陰鬱な3楽章を経て、4楽章は弦主体にすっきりと、やや屈折した感じで行進曲風に進み賑やかに終わる。こういったパターンが多い。

交響曲12 2022.10.23
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲12番、ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響。静かに暗く始まり少し滑稽に盛り上がりまた静けさに戻る。2楽章も木管により静かに始まるが、Timpと金管のファンファーレで重く盛り上がって、また静かになる。3楽章は弦による力強い行進曲で始まり、騒がしく終わる。

交響曲1-12 2022.10.26
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送響

アレクサンドル・モイゼス 交響曲12曲を聴いた。7番までは順調、明るさや軽快さ、静けさと瞑想のスタイルに辿り着いたが、8番で一転、9番以降はまた少し現代的になって、作風が確立した感じがする。軽快でやや滑稽な行進曲、漂うような美しい静けさ、新古典主義派のやや暗く冷たい感じが同居し入れ替わる。

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