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交響曲11,13 2024.02.29

イヴァノフスの交響曲はシンフォニエッタも含め22曲あるが、前回見当たらなかった11、13番の音源を某SNSで教えていただいたので聴いてみる。この2曲を聴く限り、どちらも暗く冷たい印象。前回、面白いとお気に入りにした曲以外、改めて22曲すべてをとおして聴く機会はもうないと思う。

交響曲11 2024.02.28
エドガース・トンス/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲11番、エドガース・トンス/ラトビア国立響。ピアノと弦の厳しい主題に金管が加わて激しく上下する。2楽章は金管で始まり、寂しいVn、Claと弦が寒々としている。3楽章は騒がしく、勢いをもって激しく進む。4楽章は重々しく始まりゆったりしたピアノと弦を挟み、激しさを増したのち、ゆったり冷たく3拍子の歩みを進め静かに終わる。

交響曲13「人間」 2024.02.29
アレクサンドル・ヴィルマニス/ラトビア国立放送響(?)

ヤニス・イヴァノフス 交響曲13番「人間」、アレクサンドル・ヴィルマニス/ラトビア国立放送響?。各楽章、短い導入後に男性ナレーションが入る。1楽章は冷たい弦に金管が加わり厳しく3拍子で迫る。2楽章も冷たく激しく劇的性も加わる。3楽章も不穏な雰囲気で金管、Timpが入り騒がしくなるが、再び男性ナレーションの後、ゆったり静まって終わる。


交響曲 2022.10.10 

ヤニス・イヴァノフス 交響曲1番-21番(11番、13番は音源見当たらず)。ラトビアの作曲家で民俗派、新古典主義派。3番あたりまでは民俗派の色が強く、以降、新古典主義派へ変わっていくが、5番に対する批判を受け6番、7番で民俗派の方向に転換、8番以降に本来の新古典主義派の色が強まっていく。

交響曲 2022.10.10

 曲想は、初期を中心にラトビア民謡による熱く抒情的な旋律と、ショスタコーヴィッチほど深く、深刻ではないにしても、現代的で新古典主義派的な響き、曲想の両面がある。時代を追うにつれて洗練され、スタイルが確立したように思える。21曲もあるのですべて聴くのは大変だが、いくつかお気に入りもある。

交響曲1「詩曲」 2022.09.28
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲1番「詩曲」、ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア響。この曲は短めで13分程度。冒頭より情熱的で抒情的、ラトビア民謡と思われる旋律は、どこか日本にも通じる郷愁があり、日本映画の音楽のよう。中間より軽快な踊りの部分もあり、濃厚に盛り上がる。

交響曲2 2022.09.28
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲2番、ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響。暗い含みのある前奏より、テンポを速め抒情的に展開し盛り上がる。2楽章はClaのゆったりした民謡調の旋律より情熱的に盛り上がり、HrnとClaのソロで閉じる。3楽章は華々しく祝典的に始まり、民俗的な盛り上がりを見せ祝祭的に終わる。

交響曲3 2022.09.28
ドミトリ・ヤブロンスキー/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲3番、ドミトリ・ヤブロンスキー/ラトビア国立響。Hrnで始まり、ちょっと暗い感じのワルツに変わる。2楽章は弦の安らかで哀愁漂う旋律は少しシェヘラザードのよう、密やかに終わる。軽快で民族的な3楽章。4楽章は民族的な舞曲のようで、情緒的に盛り上がって終わる。Hrnはとても上手い。

交響曲4「アトランティダ」 2022.09.28
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響

イヴァノフス 交響曲4番「アトランティダ」、シナイスキー/ラトビア国立響。金管の叫びから始まり、何度も劇的に盛り上がるところはスクリャービンのよう。静まって女声合唱が入り神秘的な雰囲気。後半、Trp,Hrnより各楽器に主題が展開し、HarpとClaで始まる民俗的主題の後にスピードアップ、不安と緊迫感の中、最後は暗く終わる。

交響曲5 2022.09.28
ドミトリ・ヤブロンスキー/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲5番、ドミトリ・ヤブロンスキー/ラトビア国立響。一気に新古典主義調に変わり、響きも冷たい現代的なものになった。ちょっと風変わりで民族色も少し残った2楽章、ショスタコーヴィッチを思わせる3楽章は中間部からのワルツが印象的、4楽章は緊張感があり、最後は壮大に終わる。

交響曲6「ラトガリアン」 2022.09.28
レオニード・ヴィグナース/ラトビア国立響

イヴァノフス 交響曲6番「ラトガリアン」、ヴィグナース/ラトビア国立響。反形式主義キャンペーンでの5番に対する批判により6番は民族色の強いものとなった。落ち着いた哀愁が漂う1楽章、軽快に民謡的な旋律が盛り上がる2楽章、後半はさらに民族色が濃くなって大いに盛り上がって楽しいのだが、やらされ感はなかったのだろうか。

交響曲7 2022.09.28
アレクサンドル・ガウク/ソ連国立テレビ・ラジオ響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲7番、アレクサンドル・ガウク/ソ連国立テレビ・ラジオ響のライブの古い録音。ロシア的なオケの音に苦笑。1楽章より民俗調に盛り上がるが、録音のせいもあって聴きづらい。素早くせわしない動きの2楽章、弦の情緒豊かな3楽章、4楽章は終始盛大に完結する。一本調子であまり面白くない。

交響曲8 2022.09.28
ドミトリ・ヤブロンスキー/モスクワ響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲8番、ドミトリ・ヤブロンスキー/モスクワ響。作風も本来のスタイルに戻りつつある。現代的な曲想に情緒感や晴れやかさが混じる。民族的な旋律が躍動する2楽章、ゆったり物寂しい3楽章、民俗的な踊りの早い旋律が何度も展開され重々しく静かに終わる。6,7番に比べ面白い。

交響曲9 2022.10.08
エドガース・トンス/レニングラード・フィル

ヤニス・イヴァノフス 交響曲9番、エドガース・トンス/レニングラード・フィルの古い演奏。ショスタコーヴィッチに似た暗い出だしから厳しい表現に代わる。急激な動きが目まぐるしい2楽章、暗く徐々に盛り上がrり静かに終わる3楽章、早く緊迫感をあおる4楽章。民族色は薄れ、新古典的だが、今一つ魅力がない。

交響曲10 2022.10.08
エドガース・トンス/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲10番、エドガース・トンス/ラトビア国立響。9番と似た感じの新古典主義派の曲。激しく厳しい1楽章、現代的でスピード感のある2楽章、静かに始まり不協和音が広がる3楽章、激しく混とんとした4楽章。ショスタコーヴィッチ的なところもあるが、それほど深刻さは感じない。民俗色はなくなったようだ。

交響曲11、13 2022.10.08

 ヤニス・イヴァノフス 交響曲11番、13番は、残念ながら音源が見当たらず、今回はパス。

交響曲12「シンフォニア・エネルジカ」 2022.10.08
ドミトリ・ヤブロンスキー/ラトビア国立響

イヴァノフス 交響曲12番「シンフォニア・エネルジカ」、ヤブロンスキー/ラトビア国立響。金管ファンファーレから現代的な曲想で疾走する。不協和音が不安定な緊迫感を生む。2楽章はショスタコーヴィッチの緩徐楽章に少し似ている。3楽章も不安定なパターンが繰り返し現れる。4楽章は快速に進む。全体的に、洗練されてきたが今一つ盛り上がらない。

交響曲14「室内交響曲」 2022.10.08
ノルムンズ・シュネー/リガ響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲14番「室内交響曲」、ノルムンズ・シュネー/リガ響。弦楽のための交響曲。さみし気で抒情的かつ現代的な旋律が1楽章では繰り返される。弦楽合奏にVnのソロが空虚にさみしい2楽章、不協和音が響き緊迫感をもって力強く進む3楽章。なかなかすっきりしていてお気に入りです。

交響曲15「シンフォニア・イプサ」 2022.10.08
グンティス・クズマ/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲15番「シンフォニア・イプサ」、グンティス・クズマ/ラトビア国立響。神秘的な出だしから弦楽中心に盛り上がり、緊迫と静寂を繰り返す。2楽章は緩急織り交ざり音列の繰り返し、情緒的な面もある。ゆったりとうねるような3楽章。4楽章は2楽章と同じようなパターンで静かに終わる。曲想はかなり現代的になった。

交響曲16 2022.10.08
グンティス・クズマ/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲16番、グンティス・クズマ/ラトビア国立響。激しい部分と落ち着いた穏やかな部分が交差する。早い音形の繰り返しで緊張感が増す2楽章、3楽章も緩急を交えて同じ音形が繰り返される。4楽章も同じパターンで最後はTimpロールに開放和音が響き解決する。面白いが同じパターンが見えてきた感じがする。

交響曲17 2022.10.09
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア放送・テレビ響

イヴァノフス 交響曲17番、シナイスキー/ラトビア放送・テレビ響。この曲も同じ音形や強弱、緩急の繰り返しのパターン。静かで透明感のある序奏から盛り上がってまた静かに戻る。弦による魅力的な旋律ののち急激に盛り上がりを経て繰り返し静かに終わる。終楽章も劇的に盛り上がり静かになる。全体に洗練されてきた感はある。

交響曲18 2022.10.09
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲18番、ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響。17番と似た感触、現代的な雰囲気で、序奏より緩急、強弱、フレーズの繰り返しのパターン。スピード感があり現代的な雰囲気と、じわじわと盛り上がる部分、静かで神秘的な部分が繰り返される。終楽章はぶ厚い響きで力強く終わる。

交響曲19 2022.10.09
ヴァシリー・シナイスキー/ラトビア国立響

イヴァノフス 交響曲19番、シナイスキー/ラトビア国立響。雰囲気はあまり変わらないが、少し旋律的になった。現代的な透明感もあり、オーケストレーションも良く壮大。強調されたリズムで激しい2楽章、静かに始まる3楽章はじわじわ盛り上がってから静かに終わる。4楽章では民俗的主題が融合し盛り上がり、最後は静かに終わる。

交響曲20 2022.10.09
ドミトリ・ヤブロンスキー/モスクワ響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲20番、ドミトリ・ヤブロンスキー/モスクワ響。冒頭の最弱音よりTimpと金管で盛り上がる。2楽章は悲劇的な曲想から安らぎに転じる。3楽章は一転して古典的な舞曲となり突出した感じで民族派の所以だろう、4楽章は現代的で悲劇的。21番よりこちらの方が好き。

交響曲21(未完) 2022.10.09
ノルムンズ・シュネー/ラトビア国立響

ヤニス・イヴァノフス 交響曲21番、ノルムンズ・シュネー/ラトビア国立響のライブ。未完の曲でユリス・カールソンス補筆。序奏の後、力強い弦楽合奏から、激しさ、不安と少しの安らぎが混じる。強弱の繰り返しは変わらない。終楽章のひきつったようなワルツの後、静かに主題を繰り返して終わる。録音のせいかTrpの音が強すぎて好きになれない。

シンフォニエッタ 2022.10.12
ノルムンズ・シュネー/リガ響

ヤニス・イヴァノフス シンフォニエッタ、ノルムンズ・シュネー/リガ響。番号付き交響曲に続き、最後にシンフォニエッタ。14番と同じく、弦楽合奏の曲。冒頭より激しく始まり、分厚いサウンドを聴かせる。2楽章は中間部の盛り上がりを挟んで高低弦の静かな掛け合い、3楽章は激しい動きを繰り返し、強いダウンで完結する。

交響曲 2022.10.12

 ヤニス・イヴァノフス 交響曲21曲とシンフォニエッタを聴いた。全曲聴くには相当な時間と気力が必要。民俗派から現代的な移行を果たしつつ、大元にはラトビア民謡を軸としたものを感じる。作風はパターン化され繰り返しが多く、短調の暗さを伴っており、特に好きな作曲家というわけではないが、面白い曲もいくつかあるのでお気に入りの一つとしよう。

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