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交響曲 2022.06.02
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

ジャン・フランチェスコ・マリピエロの交響曲19曲を聴いた。それぞれは30分弱で、比較的聞きやすい曲が多いが、すべてを聴くとなると結構大変。初期の「英雄」以外はアントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響が全曲カバーしており、録音、演奏ともに良い。少し古風で現代的、力みがなく爽やかな曲には好感が持てる

英雄交響曲 2022.05.27
アマウリー・デュ・クロゼル/テッサロニキ国立管

ジャン・フランチェスコ・マリピエロ 英雄交響曲、アマウリー・デュ・クロゼル/テッサロニキ国立管。初期に破棄された曲で、これだけ別の演奏者。暗い出だしより哀愁のある旋律に続き、フランス的な断片がいくつも現れる。表題のような勇ましさや力感はなく、楽し気で爽やかな印象。最後は劇的に盛り上がる

海の交響曲 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

ジャン・フランチェスコ・マリピエロ 海の交響曲、アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響。ドビュッシーの海を思わせる。どちらかというと交響詩的。ハープとAsax?により静かに始まり、軽快に進んで徐々に力強さを見せ盛り上がり厳しい表情も見せるが、Obの静かで落ち着いた旋律にハープが加わり、穏やかに終わる

静寂と死の交響曲 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 静寂と死の交響曲、アルメイダ/モスクワ響。ゆったり静かで古風な旋律から劇的に展開する「悲劇的舞曲」、ゆったりとちょっと古風で切ない「静寂の交響曲」ではドビュッシーを感じる、Timpを伴い行進曲風に始まり華やかに盛り上がって静かに終わる「死のモリーノ」の3楽章より成る。気が利いててお気に入り

交響曲1「四季の如き4つのテンポで」 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲1番「四季の如き4つのテンポで」、アルメイダ/モスクワ響。ゆったりしたテンポで木管による古風な始まりの1楽章、少し早まり少し劇的に盛り上がる2楽章、再び遅い3拍子でパートの掛け合いの3楽章、少しテンポアップし木管の軽やかな掛け合いが落ち着き徐々に盛り上がる4楽章。全体的に軽く透明感がある

交響曲2「悲歌」 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲2番「悲歌」、アルメイダ/モスクワ響。全体的に優しい感じで、嘆き悲しむというような感じはしない。ちょっと古風な面もある。中では2楽章のゆったりした哀愁のあるメロディーが印象的で、バーバーを思い出させる。この曲も全く力みがなく、さらっとした爽やかな感じで、お気に入りです。

交響曲3「鐘による」 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲3番「鐘による」、アルメイダ/モスクワ響。華やかに始まり楽し気な1楽章。この曲あたりから、所々に現代的な和声が現れ、以降の曲につながっていくのは面白い。2楽章の木管のゆったりした動き、3楽章は一連の曲の中でも活発でペトルーシュカのよう。4楽章はコラールで始まり重い鐘の響きで盛り上がる

交響曲4「イン・メモリアル」 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲4番「イン・メモリアル」、アルメイダ/モスクワ響。イギリス的な出だしに感じるのは表題によるものか。強いメッセージも感じる。重い足取りの2楽章、BDの打ち込みで現代的な響きで盛り上がる3楽章、4楽章では、同じ旋律が何度も違う楽器で増幅されるが、遅くなって徐々に消えていく。

交響曲5「エコーによるコンチェルタンテ」 2022.05.27
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲5番「エコーによるコンチェルタンテ」、アルメイダ/モスクワ響。力強くピアノが前面に出て、かなり現代音楽的に変貌した。Fg、Vn、ピアノがゆったりと陰気に絡む2楽章、スネアやPiccも入ってちょっと風変わりな3楽章、4楽章もピアノが活躍。作風はかなり現代寄りになってきた

交響曲6「弦楽のための」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲6番「弦楽のための」、アルメイダ/モスクワ響。表題どおり、弦楽合奏だけの交響曲。重厚さはないが力強い1楽章、力の入った落ち着いた2楽章、勢いが増して躍動的な3楽章の雰囲気は4楽章に続き、盛り上がった後、テンポを落として引きずるように静かに終わる。現代的な雰囲気が定着

交響曲7「カンツォーナ」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲7番「カンツォーナ」、アルメイダ/モスクワ響。明るく爽やかに始まるが、途中から不協和音が響く。2楽章は弦による落ち着いた旋律の後、中音による主題が繰り返される。軽快だがかなり現代的な3楽章、不安な感じでゆっくり進行する4楽章。初期の曲のような色合いが消えつつある感じ

交響曲8「小交響曲」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲8番「小交響曲」、アルメイダ/モスクワ響。作風は完全に現代音楽に近づき、Obによる不安な旋律より始まる。2楽章は早くなって弾むようでちょっと滑稽な感じ。より不安で現代的な3楽章は、20分強の短い曲の15分を占める長大な楽章、不安で寒々しい旋律が続く。

1つのテンポによる交響曲 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 「1つのテンポによる交響曲」、アルメイダ/モスクワ響。1楽章形式、30分弱で、この曲も現代的で不安で寂し気な部分と不協和音で厳しい部分が折り重なった印象。弦楽中心にゆっくり進行し、Hrn、Trb、Trpの響きで、時に厳しく盛り上がる。現代的な響きが同じテンポで延々と続き、重々しく終わる

黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第1番 「春」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第1番 「春」、アルメイダ/モスクワ響。春夏秋冬の4曲のパルティータでそれぞれ3楽章より成る。ずっと現代音楽寄りになってきた作風に、少し季節感が混じって、気の利いた小品集のような位置づけになっている。古典的でもあり現代的でもある。不思議な透明感がある

黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第2番 「夏」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第2番 「夏」、アルメイダ/モスクワ響。10分程度の曲。明るい出だしでも曲調は現代的で不安。2楽章はFg、Trp、Fl、Obの不思議な掛け合い、3楽章は弦中心に一歩ずつ着実に歩みを進め、徐々に盛り上がって終わる。

黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第3番 「秋」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第3番 「秋」、アルメイダ/モスクワ響。柔らかく少し寂し気なFlで始まり弦が展開する。2楽章もFlで始まり躍動的に緊張感がありつつ楽しげな雰囲気、3楽章もFlによりちょっと神秘的に始まって、盛り上がった後、最後はまたFlが優しく終わる。

黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第3番 「冬」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 黄道十二宮の交響曲 - パルティータ第4番 「冬」、アルメイダ/モスクワ響。細かな動きの上にFg、Flが落ち着いた旋律を奏で中間部より早くなって弦の躍動感が出る。2楽章はゆったりしたCla、Fgの伴奏でFlの旋律で始まり弦により盛り上がる。3楽章は金管も前面に出て力強さが加わる。

交響曲9「悲嘆について」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲9番「悲嘆について」、アルメイダ/モスクワ響。1楽章は力強い弦による出だしから金管も交えて緊張感が高まる。2楽章はゆったりした弦に始まり盛り上がって、3楽章では弦中心に緊張感が高まる。一連の曲の中では、比較的力感と緊張感が持続する曲。

交響曲10「アトロポス」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲10番「アトロポス」、アルメイダ/モスクワ響。FlとObによる主題がゆったりと奏され、弦により緊張感を維持しながら、2楽章は弦によるゆったりと優しい旋律に木管が柔らかく響く。3楽章は一転して躍動的になり緊張感と不安が高まる。4楽章も雰囲気を受け継ぎ緊迫感をもって静かに終わる

交響曲11「バグパイプ」 2022.05.29
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

マリピエロ 交響曲11番「バグパイプ」、アルメイダ/モスクワ響。FgやObの滑稽な旋律で始まり、一定のリズムの上で不安定な感じ、2楽章はゆっくり静かにFg、Obが主役、3楽章は弦によるアクセントの利いたベースにHrn、Fg、Obが絡む。4楽章も一貫してひきつったような緊張感がある。

交響曲 2022.06.07
アントニオ・デ・アルメイダ/モスクワ響

ジャン・フランチェスコ・マリピエロ 前半の交響曲は、さらっとした力みのないちょっと古風な感じもあってちょっと現代的な感じでメロディーも楽しめるが、5番あたりから現代音楽的になって行くにつれて徐々に難解で個性が薄れていくように感じる。全体的には透明感があってお気に入りです。

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