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交響曲1-10 2023.01.27
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管、ポーランド放送響

パヌフニク 交響曲1-10番、ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管、ポーランド放送響。ポーランドの現代音楽作曲家の10曲の交響曲を聴いた。前衛的な曲だけど攻撃性や押しつけがましさは全くなく、弱音を大切に、幸福感とは違う静かな安らぎや神秘性を感じる。各楽器も音をストレートに響かせることにより、オルガンのような効果を出している。

交響曲1「素朴な交響曲」 2023.01.25
ウカシュ・ボロヴィチ/ポーランド放送響

パヌフニク 交響曲1番「素朴な交響曲」、ボロヴィチ/ポーランド放送響。1楽章は軽くおどけた調子。2楽章は静けさを伴う細かな軽やかな動き、3楽章は幻想的な弦の上にがどこか懐かしさのある柔らかなFg、Hrn、Fi。4楽章は一転勇ましく流れるようなスピード感、リズム感が気持ち良い。5楽章は静かに穏やかに幻想的に流れる。後期の曲に比べ雄弁。お気に入りです。

交響曲2「悲歌の交響曲」 2023.01.25
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲2番「悲歌の交響曲」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。穏やかな弦の上に情感豊かな木管、Hrn、Vnが静かに進む。2楽章はTimp、スネアで勇ましくスピードを上げてリズミカルに駆け抜ける。3楽章は楽章をとおして弦の静かな安らぎを感じる。各楽章の静と動の対比が面白い。特に静かな楽章は以降の曲にも共通して安らか。

交響曲3「神聖な交響曲」 2023.01.25
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲3番「神聖な交響曲」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。1楽章はTrpの信号ファンファーレのみ。短い2楽章は弦が静かにゆったり。3楽章にそのまま続くがPercが参入、金管も加わりスピード感が増し緊迫する。4楽章は最弱音が続き木管と弦の長いフレーズの後、TrbとTrpの信号にTimpが入りcrescしながら終わる。

交響曲4「協奏交響曲」 2023.01.25
ウカシュ・ボロヴィチ/ポーランド放送響

パヌフニク 交響曲4番「協奏交響曲」、ボロヴィチ/ポーランド放送響。FiとHarpの協奏交響曲。この曲あたりから前衛的な曲想が強まる。1楽章はHarpとFlがゆったりとうつろう中、弦楽合奏では一旦は力強くなる。2楽章は低弦の行進曲風リズムに始まりFl、Harp、高弦が絡み慌ただしくなる。短い3楽章は再び冒頭主題をFlとHarp、弦が静かにゆったり奏でる。

交響曲5「空間の交響曲」 2023.01.25
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲5番「空間の交響曲」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。7楽章形式でかなり前衛的。ソロの不安な雰囲気、木管とPercの小動物の動き、怪しいピアノと弦に金管ソロが絡む。4楽章途中よりPercが加わりリズミカルに緊張感が増し、Percと神経質な弦にピアノが加わる。静けさが戻った後Percも入り一気にスピードアップ。実に多様。

交響曲6「シンフォニア・ミスティカ」 2023.01.26
ウカシュ・ボロヴィチ/ポーランド放送響

パヌフニク 交響曲6番「シンフォニア・ミスティカ」、ボロヴィチ/ポーランド放送響。これ以降、弱音がより効果的になる。6楽章形式で不安と安らぎが交差する。弦の最弱音から木管が少し不安ながら落ち着く。低弦、木低、Hrnがざわめき、Claのゆったりした流れ、低弦のピチカートから木管と弦の不安、木管の雅楽のような響き、最後は信号より息の長いcrescで終わる。

交響曲7「メタシンフォニア」 2023.01.26
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲7番「メタシンフォニア」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。1楽章だが26分、Timpとオルガンのための曲。不気味な低弦にOrgのロングトーンの和音が響く。弦の息の長いフレーズにOrgが絡みゆっくりと進む。少し速度を上げ頂点でTimp登場、Orgと弦中心にTimpのcrescを交えながら徐々に一歩ずつ進み、Orgの独奏で終わる。

交響曲8「シンフォニア・ヴォティーヴァ」 2023.01.26
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲8番「シンフォニア・ヴォティーヴァ」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。最弱音より始まり木管が静かに同じ音形を繰り返し、Harp、弦、Tuba、Trb、Hrn、Trpに受け継がれる。2楽章は不安な弦に金管と木管の信号が緊迫感を与え、同じ音形を繰り返し徐々にcrescしながら速度を上げてチャイムが響く。弱音と繰り返しが特徴。

交響曲9「希望の交響曲」 2023.01.26
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲9番「希望の交響曲」、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。ボストン響100周年記念で小澤征爾が初演。テンポはゆったり一定、静けさを基本に切迫感、緊張感、不安やけだるさが交互するが、荒々しさはなく移ろう感じ。いずれも同じ音形を延々と繰り返し、最後に向けて徐々に力感が増して行く。演奏するにも聴くにも集中力が必要。

交響曲10 2023.01.26
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管

パヌフニク 交響曲10番、ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管。1楽章は金管ファンファーレのあとのOrgの静けさが2楽章につながり、Percと弦より金管のミュート、harpが同じ音形を繰り返す。3楽章はタムタム主体の打ち込みリズムが迫り、4楽章は一転、弦の静かでゆったりした響きにOrgも加わり、さらに静けさを増しながら終わる。

交響曲1-10 2023.01.29
ウカシュ・ボロヴィチ/ベルリン・コンツェルトハウス管、ポーランド放送響

パヌフニク 全交響曲の中では、1,2番が比較的とっつきやすく面白い。4番以降になるとかなり前衛的な曲想となり、また弱音が効果的に用いられ、奏法もストレートトーンを生かして雅楽にも共通する雰囲気がある。激しさはなく各楽器が表裏の役割を果たす。それぞれ書き表すのが非常に難しいけど、印象に残る曲。お気に入りです。

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