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交響曲1-13 2022.11.2

アルフレッド・ヒル 交響曲13曲を聴いた。内11曲は弦楽四重奏曲を交響曲に編曲したもの。11番「4つの国」は音源が見当たらない。1番を聴いた限りでは、正直、期待できなかったが、3番あたりから本来のスタイル、弦楽四重奏を弦楽合奏とTrp、Hrn、Timpで強化した感じで、明るく時に情緒的な曲想は統一されている。起伏が少なく物足りない印象で1世紀遅れたロマン派という感じ。

交響曲1「マオリ」 2022.10.31
ドナルド・モーリス/ウェリントン室内管

アルフレッド・ヒル 交響曲1番「マオリ」、ドナルド・モーリス/ウェリントン室内管。堂々とした出だしより、全編、明るく平和な雰囲気。古風な感じもある。ただ、あまりにも平和すぎてダルく感じてしまい、面白味はない。オケはアマチュアなのか、技術的にかなり厳しいレベルで、時折、聴くに堪えないところがある。

交響曲2「人生の楽しみ」 2022.10.31
パトリック・トーマス/南オーストラリア響

アルフレッド・ヒル 交響曲2番「人生の楽しみ」、パトリック・トーマス/南オーストラリア響。1番に比べ哀愁や劇的な表現も少し増え面白くなった。全体に明るく健康的なところは変わらない。4楽章はTrpファンファーレより合唱が入りカンタータの様相、古いディズニー映画のBGMのよう。オルガンや女性独唱も加わりチャイムとともに高らかに終わる。

交響曲3「オーストラリア」 2022.11.01
ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響

アルフレッド・ヒル 交響曲3番「オーストラリア」、ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響。Claの哀愁ある旋律より始まり、すぐに躍動的になる。2楽章も弦の哀愁のある旋律が美しい。3楽章は5拍子でクラベスも入り土俗的雰囲気がある。4楽章は哀愁を帯びた旋律より、最後はスピードアップし完結する。

交響曲4「幸福の追求」 2022.11.01
ウィルフレッド・レーマン/メルボルン響

アルフレッド・ヒル 交響曲4番「幸福の追求」、ウィルフレッド・レーマン/メルボルン響。3楽章形式。少し暗めの序奏は他の曲と共通、すぐに躍動感が出て雰囲気が変わる。ゆったりした3拍子の2楽章、3楽章は弦楽合奏主体の早い動きで始まり、古風な趣を持ちつつ、Timpが強引に盛り上げて終わる。

交響曲5「カーニバル」 2022.11.01
ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響

アルフレッド・ヒル 交響曲5番「カーニバル」、ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響。他の曲と異なり、いきなり躍動的なウキウキ感で始まる。2楽章は早い3拍子で、こちらも楽し気。3楽章はゆったりした落ち着いた流れ、4楽章は再び躍動的で民俗調の旋律で、力強い踊りをイメージする。中間部のVnソロは哀愁があってよい感じ。

交響曲6「ケルト」 2022.11.01
ウィルフレッド・レーマン/メルボルン響

アルフレッド・ヒル 交響曲6番「ケルト」、ウィルフレッド・レーマン/メルボルン響。古風で落ち着いた前奏に続き、民謡風の軽やかな動きになる。2楽章も切ない民謡的な旋律がVnでゆったりと流れ、3楽章は明るく軽快なスケルッツオ、4楽章は序奏の後、リズミカルに楽し気に進み、最後はTimpが入って終る。

交響曲7 2022.11.02
ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響

アルフレッド・ヒル 交響曲7番、ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響。1楽章は重く劇的な出だしより、弦と木管の情感豊かな旋律を挟み盛り上がる。2楽章はOb、Flより弦の穏やかな旋律が続く。3楽章は早い3拍子のシンコペーションに躍動感がある。4楽章は細かな動きよりタムタムも入り東洋的和音もあったり、ちょっとおかしな感じ。

交響曲8「人の心」、9「メロディアス」 2022.11.02
ゲオルグ・ティントナー/西オーストラリア響

アルフレッド・ヒル 交響曲8番「人の心」、9番「メロディアス」、ゲオルグ・ティントナー/西オーストラリア響。どちらも弦楽のための交響曲で弦楽四重奏からの編曲ゆえに弦楽合奏での爽快感、情緒性や躍動感がよく出ている。8番は正統派の弦楽合奏で快活な印象、9番は8番とはまた違った趣きの旋律。録音はあまりよくない。

交響曲10「短い交響曲」 2022.11.02
ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響

アルフレッド・ヒル 交響曲10番「短い交響曲」、ウィルフレッド・レーマン/クイーンズランド響。題名通り18分少々の短い曲で3楽章形式。ゆったりした序章の後、弦により明るくおおらかな旋律となる。2楽章はVcソロから弦楽合奏になりObの哀愁のある旋律となる。3楽章は躍動感も出てちょっとドヴォルザークのように聞こえたりする。

交響曲12 2022.11.02
ゲオルグ・ティントナー/西オーストラリア響

アルフレッド・ヒル 交響曲12番、ゲオルグ・ティントナー/西オーストラリア響。少し劇的な出だしより3拍子の穏やかな旋律となる。2楽章はチャイムが入るが華やかさや盛り上がりはさほどでもない。3楽章は3拍子でゆったり、4楽章は少し古風、ありきたりの印象で唐突なシンバルで終わる。12番になってつまらなくなった。これは上手くないオケの問題かもしれない。

交響曲13 2022.11.02
ティボル・ポール/西オーストラリア響

アルフレッド・ヒル 交響曲13番、ティボル・ポール/西オーストラリア響。弦楽のための交響曲。短い序奏の後、哀愁のある旋律が滑らかに続き力強く終わる。2楽章は情緒的でゆったりとした長いフレーズの起伏、3楽章は楽し気なスケルッツオだがVcセクションが弱体、4楽章は激しい出だしと哀愁ある旋律の繰り返しのパターン。

交響曲1-13 2022.11.04

 アルフレッド・ヒル 交響曲13曲(除く11番)を聴いた。全体に明るく健康的で、弦楽四重奏をベースにしたきれいで情感のある旋律が多く出てくる。その意味では愛すべき作曲家だと思うけど、平和すぎてどうも物足りない印象。劇的、情緒、民俗性、いずれもさほど強調されず抑制された感じで、出来栄えは指揮者とオケに大きく依存する。

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