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交響曲1「戦争」 2023.05.30
ペルッティ・ベッカネン/トゥルク・フィル
ペーテル・リリェ/エストニア国立響

エングルンド 交響曲1番「戦争」、ベッカネン/トゥルク・フィルとリリェ/エストニア国立響。弦の主題より少し風変わりな行進曲が始まる。2楽章は小刻みなリズムに各楽器のファンファーレ要素が繰り返され徐々に緊迫してTrp,Trbで盛り上がる。3楽章はゆったり不安なまま、盛り上がりの後静まる。4楽章はTrpファンファーレからPiccも加わり徐々に力強く盛り上がる。

交響曲1「戦争」 2023.05.30
ペルッティ・ベッカネン/トゥルク・フィル
ペーテル・リリェ/エストニア国立響

全体的に新古典主義の特徴的な透明感、良い意味での滑稽さと脱力感を感じる。時折、ショスタコーヴィッチを思わせるところがある。演奏は、ベッカネンの方が鮮烈な解釈でメリハリがあって面白い。トゥルク・フィルはちょっと古臭く、Trbは残念。リリエの演奏は平凡で面白さに欠ける。

交響曲2「クロウタドリ」 2023.05.30
ペルッティ・ベッカネン/ヘルシンキ・フィル

エングルンド 交響曲2番「クロウタドリ」、ベッカネン/ヘルシンキ・フィル。3楽章形式。鳥のさえずりに弦は爽やかで透明感がある。ショスタコーヴィッチ風に盛り上がってから静まる。2楽章はゆったり空虚に流れる。堂々と盛り上がったのち静けさにさえずりが戻る。切れ目なく3楽章は、さえずりを織り交ぜながら堂々と派手に盛り上がって終わる。少しサンダーバードみたい。

交響曲3「バルバロッサ」 2023.05.31
アリ・ラシライネン/タンペレ・フィル

エングルンド 交響曲3番「バルバロッサ」、ラシライネン/タンペレ・フィル。代表作とのこと。金管のシグナルから緊迫感が増し、勇ましく進む。2楽章もせわしない動きから盛り上がった後チェレスタの静けさ。3楽章は静かな中に陰鬱な雰囲気で進む。4楽章は金管のベルトーンより弦のフーガ、ショスタコーヴィッチ風に勇ましく盛り上がり多層的な和音で堂々と終わる。

交響曲4「ノスタルジック」 2023.05.31
エリ・クラス/タンペレ・フィル
ツァバ・シルヴァイ/ヘルシンキ・ストリングス

エングルンド 交響曲4番「ノスタルジック」、クラス/タンペレ・フィルとシルヴァイ/ヘルシンキ・ストリングス。弦楽合奏の透明感にPerc、チェレスタがアクセントとなる。1楽章はショスタコーヴィッチ風の悲愴感。2楽章は緊迫したPercと弦のリズム、3楽章は弦の空虚な旋律、4楽章は弦が少し滑稽さも交えながら最後はゆったり静かに終わる。

交響曲5「フィンランド」 2023.05.31
エリ・クラス/タンペレ・フィル

エングルンド 交響曲5番「フィンランド」、クラス/タンペレ・フィル。1楽章20分弱、展開の激しい曲。冒頭のHrnとPercの強いリズムに各楽器が折り重なる。緩急を繰り返し、弦の虚ろな旋律に金管が叫んでTimp、スネアが盛り上げる。中間部でOb、チェレスタ、Trbより弦が再び盛り上がりトムトムの一撃。短い静けさより打込みで盛り上がるが最後は静かに収束する。

交響曲6「格言」 2023.05.31
エリ・クラス/タンペレ・フィル

エングルンド 交響曲6番「格言」、クラス/タンペレ・フィル。6楽章で合唱入。ショスタコーヴィッチに似た不安な出だしに金管とPercが入り合奏がささやく。2楽章はTimpの打ち込みで悲劇的、3楽章の早い掛け合いは途中虚ろう。4楽章は合唱にPerc,金管が入り、5楽章は運命のリズムより不安な合唱、6楽章は行進曲風から合唱が入り、安らぎを得て静かに終わる。

交響曲7 2023.05.31
エリ・クラス/タンペレ・フィル

エングルンド 交響曲7番、クラス/タンペレ・フィル。冒頭のHarp、弦からTrb、Trpでcrescするあたりからすでに新古典主義の難解さが表われる。チェレスタも入り音響的に強弱をつけた斬新で多層の不協和音を生かして虚無的で軽く陰鬱な雰囲気が続く。3楽章中盤や4楽章のリズムの掛け合いは力強い。最後はチェレスタより金管で力強く終わる。

交響曲1-7 2023.06.01

エイナル・エングルンド 交響曲1-7番を聴いた。PercやPiccの使い方など時にショスタコーヴィッチのような響きや音形が現れるが、暴力的な激しさはなく、新古典主義派特有の透明感や空虚な情緒、なり切れない滑稽さがある。7曲中では前半の1-4番が面白く、特に2番、4番がお気に入り。5番以降は徐々に近代に近づくにつれ、難しくなる。

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