見出し画像

交響曲1-8 2023.06.19
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲7曲(7番は未完、8番は未完でピアノスコアからのピアノ演奏)と「自然」「人間性」のメゾ・ソプラノ独唱メインの2曲を聴いた。チェコの作曲家で、番号付き交響曲ではそれぞれの特徴として、1番の民俗性と印象派風対比、2番の突然現れるジャズ調、3番のショスタコーヴィッチ風行進曲、4番はバリトン独唱とブルックナー風スケルッツオ。

交響曲1-8 2023.06.19
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

5番は主題の繰り返しによる盛り上がり、6番はバス、混声合唱が入ってショスタコーヴィチ「森の歌」のよう。7番は未完で音源なし、8番はピアノスコアからのピアノ演奏に男声合唱も加わり、「自然」「人間性」と共通する抒情性がある。全体的に、繰り返しが多用され、行進曲風に盛り上がるのはショスタコーヴィッチ、スケルッツオのリズムはブルックナーのよう。

交響曲1-8 2023.06.19
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

8番は未完だが1時間の大作でピアノ演奏に男声合唱も加わる。ここでもブルックナーに似たスケルッツオが現れる。7曲通じて行進曲風に盛り上がるのはショスタコーヴィッチのようで、繰り返しが多用される。作風としては前期のものの方が特徴があって面白いが、8番は「自然」「人間性」と共通する抒情性も感じる。

交響曲「自然」「人間性」 2023.06.14
ゲルト・アルブレヒト/ベルリン・ドイツ響
ドリス・ゾッフェル(メゾ・ソプラノ)

エルヴィン・シュルホフ 交響曲「自然」「人間性」の2曲、ゲルト・アルブレヒト/ベルリン・ドイツ響、ドリス・ゾッフェル(MS)。番号付き交響曲に先立っての作曲。作風は交響曲とは全く異なり、メゾ・ソプラノ独唱の5楽章より成る2曲は、まるでワーグナーやマーラー「大地の歌」を聴いているようで、とてもロマンチック、厭世的な雰囲気にも魅力があって、お気に入りです。

交響曲1 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲1番、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。1楽章は楽し気な軽い民俗調の主題で始まり、徐々に盛り上がる。後半、フランス印象派やマーラーっぽい展開となり驚く。2楽章はスネアより行進曲となり、Hrn、Trp、Piccで騒々しくなった後静まる。3楽章はTrpより早いテンポで進行、民俗調の主題に乗って軽快に進む。面白い曲。

交響曲2 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲2番、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。Fgのおどけた民俗調の旋律が弾み展開。2楽章は弦と木管主体のちょっと古風で落ち着いた感じ。3楽章はTrp、Cla、PercよりASaxが入ってTrpミュートとともに一気にジャズ調になる。4楽章も古典的な様式に風変わりな旋律が重なって、やや唐突な感じで終わる。

交響曲3 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲3番、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。Fgの少し滑稽な行進曲で始まり、繰り返しながらPercで盛り上がるところはショスタコーヴィッチのよう。2楽章はTrpより弦のリズムで神経質に変拍子を交え盛り上がった後、徐々に静まる。3楽章は再び行進曲で金管、Percが盛り上げ、最後はバタリと終わる。

交響曲4 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲4番、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。TimpとHrnで始まる勇壮な行進曲が突然、重々しいバリトン独唱に変わり激しく盛り上がった後Timpで静まる。2楽章は付点付リズムで不穏に突き進むあたりはブルックナーのスケルッツオのよう。3楽章は弦の嘆き、4楽章は不協和音で騒がしく堂々とした行進曲になる。

交響曲5 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲5番、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。Trbの主題が展開、繰り返され力を増していく。2楽章は落ち着いた弦の響きより打ち込みで盛り上りHrnのレチタティーヴォとなる。3楽章はTimpが激しいスケルッツオを盛り上げる。4楽章は主題が何度も繰り返され、最後はいつものようにバッサリ終わる。

交響曲6「自由の交響曲」 2023.06.14
ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響

エルヴィン・シュルホフ 交響曲6番「自由の交響曲」、ウラジミール・ヴァーレク/チェコ放送響。Timpに乗った勇壮な行進曲が終わり、ゆったりした不協和音より雄大に盛り上がり、Timpを伴って消えていく。2楽章は付点のリズムに乗って盛り上がって、軽い調子に変わって派手に進む。3楽章もTimp、Trpが華々しく、Tubaと混声合唱が入って「森の歌」のようになる。

交響曲8 2023.06.14
アンジェロ・デ・レオナルディス/フランチェスコ・ロトロ(ピアノ)

エルヴィン・シュルホフ 交響曲8番、アンジェロ・デ・レオナルディス/フランチェスコ・ロトロ(ピアノ)。ピアノスコアよりの演奏で、男声合唱が入る1時間の大曲。全体的にピアノのタッチが強くニュアンスが今一つ伝わらないのが残念。1楽章は同じ音形の繰り返しより共産主義的な男声合唱が入る。2楽章は抒情的で「自然」「人間性」との繋がりを感じる。

交響曲8 2023.06.14
アンジェロ・デ・レオナルディス/フランチェスコ・ロトロ(ピアノ)

3楽章のスケルッツオはブルックナー7番のものによく似ている。途中、同じ音形のまま柔らかく展開し、再度、激しさを取り戻す。4楽章は1、3楽章と類似しており、同じ音形、リズムの繰り返しで盛り上がるところは交響曲全体に共通。最後は余韻を残して終わる。それにしてもこれだけ同じ音形の繰り返しを1時間近くピアノで演奏するのも大変だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?