地方ローカル線の存廃議論について思うこと

というわけで、現在絶賛次回シリーズの画像処理作業中でございます。
見返しながらシリーズ構成の構想をぼんやり考えているわけですが、次回シリーズはこの話題に深く関連があるので、最初にこの話を少しここに書いておこうと思いました。

さて。
昨今あちこちで地方ローカル線の存廃議論が降って湧いた感がありますが、どうしてみんなバカのひとつ覚えみたいにJRで存続させることしか考えてないんでしょうね?
それ、僕から言わせると、「本気で存続させたいの? 存続させる気あるの?」と言いたくなります。
どうしてか。
結論から言ってしまうと、JRでローカル線を存続させるのって、

ある種の縛りプレイ

としか言いようがないんですよ。
なぜか。
これには資本構造が大きく影響しています。
JRは、株式会社です。
第三セクターも株式会社です。
株式会社とは、株主の利益のために活動する団体です。
では、JRと三セクと、何が違うのか。
それは、株主です。
JRの株主は、地元ではないのです。
特に、上場している東日本、東海、西日本、九州の4社に至っては、広く一般に株主が存在している状態です。
しかも、国内だけではなく、海外にも株主がいます。
そうなると、彼らの利益を考えた場合、純粋に会社として利潤を求めなければならず、そうなると、運輸収入と関連収益で黒字を達成しなければなりません。
地方ローカル線でこの2つだけで黒字に持って行くのは、インポッシブルゲームだというのは素人でも分かる話です。
それに対して、三セクの場合、株主は基本的に地元自治体です。
では、地元自治体が株主だと、何が違うのか、何がいいのか。
それは、利益構造が大きく異なってくるからです。
鉄道のような交通インフラは、それが存在する地元に便益や経済効果として単純な収益とは別の形で利益をもたらします。
地元が株主なら、この形の利益を株主たる地元が余すことなく享受できますが、そうでないJRの場合、この利益を会社(株主)は十分に享受することができません。
これが資本構造の違いによる、大きな利益構造の違いです。
つまり、地元が出資する三セクの場合、鉄道会社単体では赤字でも、補填する赤字額が便益や経済効果と釣り合いが取れる範囲であれば、十分許容することができるわけです。
これが、JRだとそうは行かない……というわけです。

また、JRから離れることで、もう一つ運営会社としてメリットがあります。
それは、ある程度運賃を自由に決められるということです。
JRの運賃水準は基本的に都会基準で決められており、地方ローカル線を維持するには安すぎる運賃体系です。
これを、少々お高くなるかもしれませんが、高すぎない程度にまで引き上げることで、その分増収を図ることもでき、収益体質が改善され、存続させやすくなります。

ざっくり以上の理由から、JRのままで地方ローカル線を維持しようとするのは縛りプレイと言っているわけです。
どのみち、JRのままで維持させようとしても、今のJRは応分の負担を地元に求めてきているわけですから、どっちみち、地元として資金を出すことは避けられなくなってきています。
同じ資金を出すのであれば、独立とどちらが良いのか、それぞれの地元が真剣に考えた方が良いのではないでしょうか?

しかしながら、JRのまま地方ローカル線が存続できないかというと、そうとも言い切れない部分もあります。
しかし、ここにも収益構造が深く関わってきます。
例えば、五能線はなぜ赤字なのに廃線にならないのか?
災害で壊れても、あっさり直してもらえるのか?
実は、あの路線は路線単体では真っ赤っかなんですが、あの路線の特異なところは、新幹線への貢献度が極めて高いというところなのです。
五能線は観光列車の効果もあり、通過する観光客が通年で安定して見込める路線です。
そして、そこを訪れるにはどうやってそこまで来るでしょうか?
運行区間の両端、青森にしろ、秋田にしろ、大方は新幹線でやって来ます。
だから、五能線は単独では真っ赤っかですが、乗りに来る人がたくさん新幹線を使ってくれるので、新幹線の方で儲けている、そういう仕組みになっています。
だから、五能線はある意味隠れたドル箱路線なのです。
そういう利益構造に乗っかっているのであれば、黙っていてもJRさんもそんな路線を手放したりはしないでしょう。
逆に言えば、そうではないから存廃が議論される。
そういう側面もありますね。

結論。

路線を維持したいのであれば、利益構造に着目せよ。

ということ。
ここを理解しない限り、残せるものも残せないんじゃないかなと思いますね。

そんなわけで、今日は一人語りでした。
まあ、次の旅に関わってくる話なので、たぶんその端々に出てくるであろう、僕の考え方の前提として、あらかじめ最初に書いておきました……ということで。

たぶん次の記事から新しい旅のシリーズに入ると思いますので、そちらの方、お付き合いいただければ幸いです。

わりとこの手の一人語りとかはぶっちゃけどうでもいいですし、どっちか言うと旅の話の方を気楽に見てもらった方が嬉しいですので。

それでわでわ。

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