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なぜ僕は”男の娘”に惹かれるのだろうか

男の子ではない、女の子でもない、単なる女装とも違う、完成された一つの芸術作品のような、あたかも最初から存在していた概念のような、神秘性と重厚性を兼ね備えている存在、そう、それが”男の娘”(おとこのこ)です。

可愛いがゆえに周囲から普通の女の子として見られてしまうという宿命、可愛さの中からほんのりと感じる男の子要素、男の娘の魅力は数えきれないほどあります。

「アレ」がついてるのがバレそうになったり、最初から女の子との距離が近かったりなんていう男の娘だからこそできるストーリーも、いやぁ、最高ですね。

普通のギャルゲーだと「そうはならんやろ、、、」と思ってしまう女の子との親密なボディタッチやハプニングシーンも、男の娘なら問題なし。だって実質女の子だから!四捨五入したらもはや百合です。


……すみません、のっけから自分の思いを語ってしまいました。一応言っておきますが、僕は男の娘が大好きとはいえ、ホモではありませんし(ここ重要)、その守備範囲も2次元限定です。

しかし、どうしてこんなに男の娘に惹かれてしまうのか、普通の女の子ではダメなのか、その理由を言葉にするのはなかなか難しく、執筆段階でもまだうまくまとまっていません。ですが男の娘の魅力を知ってもらうために、なんとか頑張って文章化するので、最後まで読んでいただけるとありがたいです。


男の娘の定義をかなり広くするならば、僕が最初に出会った男の娘は、おそらく「らんま1/2」の主人公、早乙女乱馬でしょう。一見普通の男の子なのですが、水をかぶると女の子になってしまうという設定です。しかし、外見だけが変わるわけではなく、完全に身体的な性別が変わってしまうので、厳密には男の娘とは呼べません。僕の好みとも少し違います。

しかし体が女の子になっても心は男の子のままというのは、男の娘のそれに近いといえそうです。まあそもそも作品の意図とは違うので、そこを求めても仕方のないことではあるんですけどね。

身体的な性別は男の子だけど、それを乗り越えて女の子になろうとする、というところに男の娘の魅力があります。身体が完全に女の子になってしまったら、その部分がすっぽりと抜け落ちてしまうので、どうしてもグッとこなくなってしまいます。なので、僕は「バ美肉」(男の人が女の子のアバターを使って女の子のように振る舞うこと)系の人たちには全然興味がありません。中身が男とはいえ、キャラが女の子なのには変わりがないですからね。やっぱり男の娘とは全くの別物です。


マンガ、ゲーム、スマホアプリ、僕は今まで何人もの男の娘と出会ってきましたが、中でも「オトメ*ドメイン」の飛鳥湊ちゃんの可愛さは格別です。

彼女は唯一の身寄りであった祖母を亡くし、いくあてもなく困っていたところに現れたお嬢様の風莉に拾われ、女子校に通うことになります(公式設定より)。それで、女装しなければいけなくなったわけですね。


この飛鳥湊ちゃん、見た目は完全に女の子です。声を当てている方も女性なので、設定を聞かないと男の娘だとはわからないでしょう。2次元で描かれる男の娘は往々にして、こんな感じの設定になっています。

男の娘だからといってちょっと男の子っぽい見た目にしたり、男性の声優さんを起用するといったことはほとんどありません。むしろ見分けがつかないほど女の子らしく描かれるのが一般的です。ですが、声は周りと比べて少し低めになっていることが多いです。これはやはり、男性性を意識してのことだと思います。

男の娘は、周囲の女の子よりも女の子らしく描かれたり、化粧やファッションなどに特別詳しかったりします。実際このゲームに出てくる湊ちゃんも、彼女が通っている女子校で行われたアンケート企画で、『素敵なお嫁さんになれそうな子No.1』に選ばれています。

こうした描き方からは、男の娘は普通の女の子にはない独特の魅力があるということや、女の子と比べて可愛くなるのが大変だ、ということを示す意図が感じられます。


その可愛らしい見た目から、最初見たときは湊ちゃんがまさか男の娘だとは思いませんでした。ストーリーを見て初めて男の娘だとわかったのですが、そのときはかなり衝撃を受けました。しかしそれで興味を失うといったことはなく、知ってはいけない秘密を知ったときのような、ゾクゾクとした感覚になりました。

適切な表現ではないかもしれませんが、「僕はヘテロセクシャルなのに、男の子に魅力を感じている」そんなある意味で、自分の価値観が変容してしまうかもしれないという恐怖や、自分の中のホモセクシャルな部分を刺激するという、僕にとってのタブーに触れている感覚が、かえって男の娘を魅力的に感じる要因になっているのではと感じています。


もう一人紹介したいキャラクターがいます。それは「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」というゲームに登場する暁山瑞希です。公式では瑞希の性別が公開されていないので、男の娘として扱ってよいかは微妙ですが、今回は僕の勝手な解釈で、男の娘として扱います。

暁山瑞希は、「25時、ナイトコードで。」という名前のネット上のサークル(メンバーは計4人)に所属しています。音楽活動を行なっているサークルで、他のメンバーは全員女の子です。瑞希も、そのサークル内では女の子として認識されています。

瑞希は可愛いもの好きが高じて、女装をするようになりました(このあたりも色々な説があります)。自分で望んで男の娘になっているという点では、仕方なく女装することになった湊ちゃんとは明確に違います。


男の娘というのは、興味はなかったけど仕方なく女装することになったパターンと、自ら望んで女装をするという2つの大きなパターンがあると僕は考えています。

後者の方が一貫性がある分、男の娘の姿としては純粋です。しかし前者も、他のキャラたちによって無理やり女装させられるという状況や、自分の女装姿に戸惑ったり恥ずかしがったりしている状況が、妙にSっ気をくすぐるので、中々良かったりします。僕はどっちも好きです。


話を戻して、瑞希も女の子と見紛うほど可愛いという点では湊ちゃんと共通です。しかし、湊ちゃんは周囲に男だとバレないように振る舞っているのに対し、瑞希は自分が男だということを、どこかでサークルメンバーにカミングアウトしたいと考えています。こうしたことを踏まえると、この2人はけっこう対照的な存在であるような感じがします。

カミングアウトしたいけれど、今までの関係性が壊れるのが怖くてできない、でもしたい、といったジレンマが、瑞希の魅力を作り出すことに大きく関与しています。瑞希は、普段は誰にでも明るくふるまい、飄々としているのですが、その裏では誰にも言えない秘密を抱えていて、実はすごく悩んでいるんだということを知ると、見方が一気に変わります。

こうしたジレンマを必然的に抱えてしまうということが、瑞希のようなタイプの男の娘の重要なポイントです。自分の感情と周囲の関係との間でどうバランスを取るのか、そこを知りたくてついつい目が離せなくなってしまいます。まあ中には「プリンセスコネクト」のユキのように、自分が男の娘であることをカミングアウトすることに、何のためらいもないキャラもいたりはするのですが。


あと瑞希は手足が細くて長く、体型もさながら女の子のようです。これも男の娘によくある特徴なのですが、体がみんな華奢です。なので、公式が性別を発表しないとなると、いよいよ性別を見分けることは困難になります。

何気ないサークルメンバーとの交流も、瑞希が男の娘だということを知ると、特別な意味を持ってきます。瑞希は、サークルメンバーの1人である絵名と非常に仲が良く、2人で映画を見に行ったり、買い物に行ったりしています。

側から見ればただ女の子が仲良く遊んでいるだけですが、瑞希は男の娘であるということを知ると、少し見え方が変わってきます。もし瑞希が女装していなければ、きっと絵名は瑞希と2人きりで遊ぶなんてことはしないでしょう。こうした点も、瑞希のカミングアウトを難しくしています。


さて、以上が僕が男の娘に魅力を感じる理由についての考察です。やはり普通の女の子とは少し違うところ、自分の中のタブーを呼び起こす感覚を味わえるところ、複雑な事情ゆえに悩み、それでも前に進もうとしている姿勢が、男の娘を魅力的にしているのではないでしょうか。

男の娘は気持ち悪いキャラでも、イロモノキャラでもありません。ぜひ彼女らの心情に寄り添って、その頑張りに気づいてあげてください。そうすればきっと、あなたも男の娘のことが好きになるはずです。








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