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記憶にないやつ①

生き抜くことが義務ならば それに背いて罪を負う
罪が人を殺すなら それが私を生かしめる

誰かに縋るくらいなら 自ら闇へ落とし込む
堕ちた後生を憂うより 今の喜びを噛み締める

私が人を想っても 人は私を想わない
河川敷、雨、朧月 確かなものは此所にない

深淵に底があるなら もうすぐ見えるだろうか
安らかな一時があった それだけで十分だった

ありがとうと泣けたなら 素直と言えただろうか
おめでとうと笑えたら 心も笑えたろうか

何も成せないはずだった 必要もない僕だった
変わった不幸抱えても すべて無意味なことだった

ここは海 どこまでも続く海だ

ちっぽけな自分も それ以下の他人だって みんな呑み込んでしまえよ

一つになれば 痛みも愛も 妬みや闇も なくなってしまうだろう?

世界さえ嫌い 責任を捨てて ただ泣いている

それを不幸と云うのなら 捻くれだって疎むなら
醜い僕を連れて行けよ そこは幸せなんだろう?

病んだってきりはないさ 幸せも不幸もおんなじだ
追いかけたら遠ざかる 何もないだけが残る

生きる幸せを語る人に この痛みが解られてたまるか

大人しく沈んで征こう 心から自分を讃え
間違い全て担いでさ どこまでだって旅しよう

そう書き残して、彼は蒼を経て晴れて窒素になりましたとさ、めでたしめでたし。

あとがき:めでたく病み切りました。ファンタジーでもノンフィクションでもないような……。漠然としすぎたなというのは確かですが、読み手の解釈に任せてみようとふと想ったんです。この日本語を僕と同じように読み解ける人はそう多くないでしょう。ですが、それでいいんです。七五調は僕の好みで採用しました。
 いつだって人はどんな形であれ理想を持っていると思っています。これはその一つの例です。どこか遠くへ行って消えてしまいたい。誰の記憶にも残らず好きな様にしたい。幸せを追う権利は誰にだってありますが、人に迷惑はかけられないし、勇気も出ない、俯瞰すると醜いですが、いざ1人称になるとそんなことにも気が付きません。こんなものを書いている時点で、もうダメなんですよね(笑)
皆さんのありたい姿はなんですか?実現できるといいですね。

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