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おほしさま

 眠らない街明かりの上に空に見える天体ははもはや月と天狼ぐらいである。公園のベンチに寝そべって見える街灯と合わせて大三角を作ってみてもなぜか私がこいぬの様な気持ちに思えて虚しくなってくる。涙を湛えた瞳に刺さる白く眩い星芒は、プリズムを通したようになって青や赤、緑に分かれて見える。いつの日かなにかのSFでみた地球軌道上に浮かぶ宇宙の五稜星たるネオンサインみたいだなぁなんてことを思うと自然と脳裏にカムパネルラがやってくる。自己犠牲は幸せではないよなぁと思いながらも、夜空へと意識を飛ばしていく。
 
 さて、星座というものは私たちから見れば繋がっているように見えるが、それは地球からの視点のみを考慮している。繋がった隣の星は奥行きで見るととても離れているなんてことはまぁザラにある。すなわち見かけの距離と実際の距離には齟齬があると言うことだ。人間もそうだ。側から見ていれば仲の良さそうに見えるあの仲良しこよしたちも、実は心の距離が数千光年離れている、なんてことはよく聞く話。私はそう言うつながりがとても好きだ。当事者になるにしても、傍観者になるにしてもそうだ。心の通わない付き合いが、私にはちょうどよかった。相手を立てながら、心は許さないし距離もとるけど突き放したり軽蔑したりはしない。これで八方丸く収まるのではないか、と私はそういう希望的観測を持って生活していた。

 ところが、気がつくと私の周りには誰もいなくなってしまっていた。正確には人はいたのだが、本当に信頼できて本当にそばにいる衛星を、私は失ってしまっていた。あぁなんと虚しいことだろうか。

 私はすぐに衛星のような人間を探してみたが、如何せん見つからない。私は日々引力を限りなく押し殺して生きてきたから距離感が掴めないし誰かしら強い恒星の影に隠れて生きてきたので衛星の作り方なんてわからない。ずっと回ってるのが嫌になって、遮二無二第三宇宙速度で逃げてきたもんだから、周りには誰もいない。ただ空間を漂うだけ。最初は心を殺してなんとか生きてきたが、それにもやはり限界が来てしまった。募っていく自己顕示欲、承認欲求、あれやこれや。陽キャやガチ陰キャに近づいて水星の地表面かのように移ろう心。何度もスーパーノヴァを繰り返してはゼロに還る虚無感。

 いけないいけない、そう声に出して現実に帰ってくる。妄想は宇宙のように広大だが同時に“コラプサー“的一面を持っている。ほどほどにしておかないと後々厄介だ。そして私はまた、勢いをつけて起き上がり、血の気が引いた頭とおぼつかない足で誰もいないユニバースを遊泳する。

私がこの後幸運にも流れ星を捕まえたのは、また、別のお話。

あとがき
めっちゃ調子良かったのに家に帰って絶望したので勢いでこんな文章が出来上がってしまいました。この後真面目な新聞の文章を書かないといけないのでこっちにとりあえず吐きたかったって言うのが本音です。本当はこういう無意味でわけのわからないような文章だけをひたすら描いていたいんだけどね。
振り返ってみるとやっぱり全体としてネタがてんこ盛りやね。駅メモ、天文、ユニゾン、コナン、全部わかったあなたは僕の第2惑星に……は、多分なれないでしょうね。諦めてください。
星の知識はないですがみるのは好きなのでワードだけテキトーに使ってます許せ

病み上がりで(物理)眠くなってきたので今回はこの辺で。
次が来ないことを祈っておいてください。それでは。

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