一般社団法人哲学のテーブル

2023年設立。団体についてはウェブサイトをご覧ください。 ウェブサイト:https…

一般社団法人哲学のテーブル

2023年設立。団体についてはウェブサイトをご覧ください。 ウェブサイト:https://info0359452.wixsite.com/my-site

最近の記事

オルタナティブスペースと吹き溜まりとしての湖について──「オルタナティブ」についての哲学対話

この文章は、2024年10月26日に行われる哲学対話のイベントに合わせて書いた文章です。 * * * * * puoy(プーイ)は、ギャラリー・劇場・カフェを備える「北千住BUoY」に集まったメンバーによって立ち上げられた活動であり、現状(2024年10月)は無人販売所を表現の母体としている。発起人の一人である増田義基(作曲家・サウンドデザイナー)は、puoyは湖でもあると述べている。東南アジアに同名の貯水池があるという事実もあるが、それだけには収まらないコンセプチュアル

    • プロジェクト型アートのかたち : 舞台と展示の外部をつくること

      この文章は、コンテンポラリーダンスやコンタクト・インプロヴィゼーションの領域を中心に活動するAAPAが主催となって行われた企画『からだの対話の場をひらく』(2023年10月〜2024年6月)を振り返る目的で行われた、「からだの対話の場を結ぶ」(2024年6月)というトークイベントで交わされた内容が原型になっている。 『からだの対話の場をひらく』は「触れる/触れられる」がテーマのプロジェクトである。コンタクト・インプロヴィゼーションのダンスワークショップと、ダンスに限定しない

      • 【劇評】 告白の閾と「死後の生」──AAPA『敷居またぎ』 (2024年、北千住BUoY)

        一度起こった出来事や一度発した言葉が、その後の人生を決定付けることがある。人生の方向性を定めるような出来事や言葉は、後で振り返ればそれが一つの分岐点/敷居となって、人生を「そのこと以前と以後」といった風に分けるような効果を持っている。 メーテルリンクの戯曲『室内(interior)』(1894年)を基にしたAAPAの公演『敷居またぎ』は、複数の敷居──ダンスワークと舞台作品の時間、客席と舞台空間、裏庭と窓、俳優の役と素、生と死など──によって構成されている。舞台空間に設置され

        • 北千住にて、AAPA『からだの対話の場をひらく』の成果発表を行います

          6/14(金)~23(日)に、AAPA主催のプロジェクト『からだの対話の場をひらく』の成果発表を行います。 昨年10月から取り組んできたワークショップやトークミーティングを経て、舞台公演・展示・対話を「北千住BUoY」と「仲町の家」で行います。少しでも興味を持たれた方は、ぜひお越しください。 ◉各プログラム(舞台公演/展示/対話)詳細 https://note.com/aapa/n/n2bde1e56e487 ◉プロジェクト及び今回の企画全体に寄せたステートメント ht

        オルタナティブスペースと吹き溜まりとしての湖について──「オルタナティブ」についての哲学対話

          触れることの尺度──AAPA『からだの対話の場をひらく』 ステートメント

          この文章は、2023年10月より行われているAAPA主催のプロジェクト『からだの対話の場をひらく』の活動として、2024年6月に北千住BUoY、仲町の家にて開催される成果発表(舞台公演、美術展示、対話型イベント)に寄せて書いたステートメントの全文です。 * * * * * AAPAのプロジェクト『からだの対話の場をひらく』は、「触れる/触れられる」というテーマを掲げ、2023年の10月から2024年の5月にかけて行われてきた。プロジェクトの中心だったのは、ダンスの Con

          触れることの尺度──AAPA『からだの対話の場をひらく』 ステートメント

          プロジェクトの哲学──第3回「作者」

          プロジェクト型の制作形式が一般化してくると、作品とプロセスの仕切りが曖昧になったり、事務作業が作品の完成度に与える影響力が増してくることになる。プロジェクト型アートは、集団の理念や作品のコンセプトだけではなく、制作にあたって必要になる作業の変化にも注目しなければならないだろう。今回は、制作環境の複雑化を踏まえて、制作における主体として想定される「作者」について整理してみたい。 (1) プロジェクト的作者 プロジェクトにおいて作者とは誰だろうか。文学作品や美術作品は、個人と

          プロジェクトの哲学──第3回「作者」

          プロジェクトの哲学──第2回「フライヤー」

          現代社会ではプロジェクトと無縁で生きていくことはできない。前回の記事では、グロイスの言葉を引きながら、現代社会においてプロジェクトが芸術の自律的な形式として浸透していることを確認した。プロジェクトが芸術の形式になった社会環境では、作品制作とイベントを企画することが、活動としてほとんど区別がつかなくなる。制作と労働の区別が薄まりつつある社会において、芸術や哲学はいかにしてみずからのステータスを保てるのか。 今回は、プロジェクトを遂行する上で、自分たちの活動を世の中に伝えるための

          プロジェクトの哲学──第2回「フライヤー」

          プロジェクトの哲学──第1回「叩き台」

          1年ほど前から、「プロジェクト」という言葉の使われ方に関心を持っている。これまでアートプロジェクト、共同制作、対話型イベントの企画などの形式を通して、「哲学の実践」の姿としてどのようなかたちが可能か考えてきた。そんな、哲学プラクティスの結び目にあるキーワードとして、「プロジェクト」があった。もちろん、哲学であれそれ以外の分野であれ、実践は固有な文脈や場所と紐づいていることが多いため、一概には言えない。キーワードとして発見した「プロジェクト」は、わたしの現在地としてそこに落ち着

          プロジェクトの哲学──第1回「叩き台」

          無意味なわけがない会話──哲学対話と芸術作品

          カフェやレストランで、たまたま隣り合わせた人の会話が聞こえてくることがある。雰囲気だけが聞こえてくることもあれば、言葉の一言一句が詳細に聞こえてくることもある。 そんな時に、確実にその人の人生を変えているような内容だったりすることがある。仕事の打ち合わせ、告白、別れ話、カミングアウトなど。 あるいは、何の話だったかと問われるとよくわからないが、後で振り返った時には美化されうるような、もう二度と再現することができない会話というのもある。 あえてこのように書くと大げさに聞こえる

          無意味なわけがない会話──哲学対話と芸術作品

          哲学者のアトリエがあるとすれば──『哲学するアトリエ』について

          それはどんな空間だろうか。 そこにはいかなる役割があるだろうか。 哲学者のアトリエがあったら、一体そこにいる哲学者は何をしていて、どんな人が必要とするだろうか。 画家はアトリエで制作する。俳優には稽古場がある。いずれも、作品を仕上げるための空間であり、そこに至る前段階のプロセスを心置きなく解き放てる空間、といった印象がある。では哲学者のアトリエ、あるいは哲学における「アトリエ的なもの」があるとすれば、それは一体どのような姿をしているだろうか。  2023年の3月、『哲学する

          哲学者のアトリエがあるとすれば──『哲学するアトリエ』について

          「プロジェクト」の時代における学園空間とコレクティフ:「平砂アートムーヴメント(HAM)」に寄せて

          初出:『archive : HAM2022』(HAM2022実行委員会、2023年6月) はじめに 2022年の七夕、生まれてはじめてつくば市に行った。筑波大学の学生が主催するプロジェクト「平砂アートムーヴメント」のイベントに参加するためだ。「スタンプラリー:都市の背骨をたどる」と題されたそのイベントでは、筑波大学のキャンパスと学生寮を貫通するおよそ10キロのペデストリアンデッキをひたすら自転車で走り抜け、スタンプラリーのスポットに立ち止まって観察、思考することがイベントの

          「プロジェクト」の時代における学園空間とコレクティフ:「平砂アートムーヴメント(HAM)」に寄せて

          人気と普遍性について──哲学のテーブル情報発信サイト一覧

          哲学のテーブルは、現在以下のサイトで情報を発信している。 活動記録note  Instagram Podcast(Apple Podcast) Podcast(Spotify) Facebook Twitter(代表長谷川の個人アカウント) 活動を始めてから、発信する情報の質に合わせてサイトを一通り開設してきた。活動のお知らせはinstagramとFacebook、ある程度のまとまった文章はnote、理事2人がその時考えていることについて話す番組としてポットキャス

          人気と普遍性について──哲学のテーブル情報発信サイト一覧

          哲学対話──パフォーマンスイベント「行きかう記憶」(2023.0422.経堂アトリエ)

          画家として活動するRoy Taroさん(以下たろうさん)、俳優として活動するオガワジョージさん(以下じょうじさん)による展示/パフォーマンスイベント「行きかう記憶」にて、哲学対話を行った。2人は1年ほど前に経堂アトリエを拠点として行われていたアートプロジェクトで出会い、出会って間もなく2人はライブボディペインティングを行った。そこで築かれた時間をさらに深めるべく、1年後のこの春、2人はそれぞれの記憶を共有する試みとして今回の制作に取り組んだ。 パフォーマンスは、大きく3つの要

          哲学対話──パフォーマンスイベント「行きかう記憶」(2023.0422.経堂アトリエ)

          「哲学はテーブルをつくる」── 一般社団法人哲学のテーブル お披露目会

          2023年3月26日、公開イベント「哲学はテーブルをつくる」が開催された。このイベントは、一般社団法人哲学のテーブルの創業を大々的に伝える初めての機会という位置付けで行われ、テーブルを作るワークショップ、理事2人によるトーク、参加者とのディスカッション、懇親会という3つのパートで構成されている。このレポートでは、理事2人のトークと会場とのディスカッションにおける核心的な部分について振り返りたい。 1.  哲学とテーブルについて──長谷川祐輔 はじめにわたし(長谷川)からの

          「哲学はテーブルをつくる」── 一般社団法人哲学のテーブル お披露目会