見出し画像

21才の夏(7)

優子は尚希に店の事情を説明した、尚希は翔って優子が高校生の時にパパ活を斡旋していた先輩だろ。尚希はあの時は嫌な奴に見えたけど、歌舞伎町で成功したんだな。良いんじゃないの、翔の店に移って、悪い条件ではないんでしょ。優子は翔さんの下で仕事するのが嫌なの、キャバの世界の力関係って、経営者のものだと思うけどなあ。俺も外車の営業しているけど、オーナーが外国人な訳よ、日本人の社長に幾ら気を遣っても出世しないものなあ、結局日本人なんて雇われ社長なんだから。もし優子が歌舞伎町で成功したいなら、力を持ってる奴とつるまないと駄目だろ。もし、翔が本当は何を考えているか知りたいなら俺が調べるから、翔さんの店の場所、教えなと優子に伝えた。


優子は尚希に翔がうちの店を牛耳っている事は分かるのよ、でも彼の事が生理的に受け付けないのよ、若い時の事がトラウマになっているのよ。尚希は分かったよ、翔さんの事調べてみるよ。優子は尚希にさん付けするのやめてよ、何かゾッとするわ。分かったよ翔で良いんだね。尚希は後輩を連れて、翔の経営するキャバに向かった。後輩は先輩ご馳走になりますと気分上々だ、でもどうしたんですか、いつもお酒を飲めないってこういう店嫌がってたじゃないですか、嫌気分転換だよ、分かった優子さんと喧嘩でもしたんですか、うるさいなお前は一言多いんだよ。店内に入ると、奥のボックス席に座った。後輩が高級そうな店ですねと呟く、ああ、お金の事は気にしなくて良いから、先週のオークスで良い配当が出たんだと口を滑らす、俺も余計な事を言うくらいテンション上がってんだなと思った、三人の女性がついて、二人が俺達の接客、一人がカクテルを作った。俺は翔の名前を出さずに、ここの店は働きやすいのとか当たり障りのない事を聞いていた、俺の本当に話したいことはそこじゃ無かった、さっき後輩が気づいたんだけど隣のボックスに綾さんがいると言うのだ。俺も気になってしょうがなかったから、俺の担当の子に隣に居る子綾さんじゃないのと聞いてみた。女の子は違うんじゃない、綾さんなんて知らないよと答えた。しかしさっき店内は薄暗かったけど、照明の灯りがこちらを向いた時に顔を確かめたけど、間違いなく綾さんだったのだ。僕は女の子に隣のボックスの子と話したいんだけどと伝えると、機嫌悪そうに指名料かかりますけどと話した。後輩にコンパの日に綾さんを俺に友人と紹介したけど本当なのと尋ねた、後輩は会場の外で綾さんの方から声をかけられたんですよね、最初俺に気があるのかと思ったけど、先輩の話ばっかりするので、直ぐに先輩狙いなんだと思って諦めましたけど、そう、俺は綾さんは翔の事何か知ってるなと直感的に感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?