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21才の夏(10)

優子は翔にあなたの弟が亡くなったのは私や尚希のせいじゃないわよ、その当時の刑事に話を聞けば分かることよ。翔は俺は建前の話なんて信用しやしない、何が本当かは俺が一番分かっている。弟がお前達に騙されて、暴力組織から追放されたのが真実だ。優子はちょっと待ってよ、パパ活をされられていたのは私の方で、それを断る権利は当然私にはあって、弟に遠慮することではないわ。尚希も私を守るために必死で戦ってくれたのよ。翔はお前はだまって俺たちの言うことを聞いておけば良い女なんだ、何も考える必要はない。優子は、やっぱりあなたって最低の男ね。翔はもうあの頃の様にお前を助けてくれる男は居ない。尚希もお前の元を離れて綾とくっつくだけだ。優子はキャバの仕事を辞めるつもりはないわ、あなたの店で納得する仕事をするつもりよ。一言言っとくけど、尚希の言うことを信じすぎるのもどうかと思うわ。多分綾さんを利用したかっただけと思うわよ。昨日も私のこと優しくしてくれたんだから。翔はお前ら馬鹿じゃないのか、俺はお前らの言うことなんか信用しちゃいない。男女の秘め事なんて相手にするわけないだろう。綾が俺の元を去ろうとどうでも良いことだ、結局俺の元に戻ってくるしかないのだから。

優子は私はあなたの弟さんが、本当に暴力組織から追い詰められて、亡くなったのか調べてみようと思うの。あなたが私を恨む理由がそこにあるとするならその誤解を解きたいと思うの。尚希からあなたの話は聞かせて貰ったわ、あなたの目的が私を不幸にしたいと言うこと、それは私があなたの弟さんを殺したと思っている所に理由がある。私は思うんだけど、私を不幸にしたいのならあなたの思う様にすれば良いわ、でもそれじゃあ、弟さんの無念を晴らすことは出来ない。あなたも何かのボタンのかけ違いで信じた嘘をこれからも信じて生きていかないといけないとしたらとても辛いことよと説明した。翔は弟のことがそんなに気になるなら調べてみれば良いさ、でも仕事だけはちゃんとしてくれよ、お前の評判が身内のものから悪い声が聞こえれば直ぐに辞めてもらう。俺が今している仕事は弟が叶えたかった夢でもあるんだ。俺は毎日弟の為に頑張っている、だから俺の仕事を邪魔する奴は誰であろうと許さない、それはお前にも言えることだ。優子は分かったわ、新人の子の教育係をすれば良いんでしょ、でもあなたの店の子って、他店から引き抜かれた子ばっかりで、キャバの基礎は知っている子が多いわよ。まあ彼女達が満足する様に仕事をさせてやれば良いだけだけど、言っとくけど私の給料は高いわよ、もし正式にマネージャーの仕事をするなら今の3倍は貰わないと、やる気になれないわと話した。

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