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優しい想い

 私はファッションヘルスで接客業をしています。男性の身体をマッサージしています。心掛けていることはリラックスして自宅で過ごしていると思って頂く事です。お客様の記憶に残る会話を楽しみます、また逢いたいなと感じて貰うのに身だしなみや言葉遣いを気にしています。店に一度遊びに来て下さいね。

 外出先でお客さんとばったり会いました。ご家族が一緒ではなかったので立ち話しやすかったです。営業で外回りしていらっしゃいました、夕方から店に出る事を伝えると今日は忙しいけど近いうちに行くと約束しました。出勤後、彼から店のスマホに連絡があって商談が上手くいった私のおかげとありました。

 この仕事を始めて2年目になります、大阪では店舗型の店は多いです。私も友人の紹介で始めました。簡単にお金が稼げると言うのですが実際には楽ではありません。ヘルスは接客業です、男性の心は繊細で来店される日によって様子が違います。皆さん気遣って下さり、気持ちよく過ごさせて頂いております。

 副業としてランジェリーの試着モデルをしています、友人が身につけたい下着がないので作ろうとショップを始めたので声を掛けて頂きました。制作の時に付け心地を確認したり、実際に販売用の写真を撮ったりします。モデルを始めて身体のケアに取り組み、友人が身体のラインを綺麗だねと褒めてくれます。

 両親は私が高校に進学する頃に離婚しました。シングルマザーの母が私と弟を育ててくれました。母は体が弱く働けません、私はアルバイトをしながら高校を卒業しました。弟は高校生です、学費を稼ぐ為に今の仕事をしています。母は仕事の悩みを聞いてくれて、他人に敬意を払う大切さを教えてくれました。

 私は今年20歳を迎え、成人式に出席した。同級生の皆んなは輝いていて意気揚々に見えた。でも私は、友達と話していて春から留学するとか、インターンシップで働き出すんだと聞いても、皆んな凄いなと感心するばかりで自分の事は放っておく感じだった。弟が高校を卒業する、2年後迄今の仕事を続ける。

 お店でお誕生日を祝っていただいた、常連のお客さんも駆けつけてくれた。店長がケーキを用意していてくれたことに感動した。皆んなでひと口ずつ食べた、ストロベリー味のショートケーキだった。私は、1日ふわふわした気持ちで仕事にも集中できなかった。こんなに優しい想いになるのは初めてだったよ。

 私は高校を卒業して実家を離れて一人暮らしを始めた。家にいた頃は話をしなかった母が頻繁に連絡してくれる。今日もヘルスの仕事の後、会う約束をする。母は最近体調も良いので友人の仕事を手伝っています。17:30に仕事を済ませて待ち合わせ場所に向かう途中で母から少し遅れるとLineが入る。

 空を見上げると鮮やかな夕暮れ、太陽が空を朱色に染めている。写真を撮って母に送信する。母から直ぐに返信、今まで見てきた夕焼けの中で1番美しい。母との新しい思い出になる。店長からキャストの人達で花見に行こうと誘われている。私も後何回皆んなと春を過ごせるかわからない。夜桜が楽しみです。

 私は同じ年の中学の同級生と交際している、高校で付き合い始めたので今年で5年目になる。彼は私の仕事に賛成していない、高校を中退して建築事務所で働いている。3年で独立して人数は少ないけど他人を雇う事業主である。私の家族の面倒をみても良いと言ってくれている。私はプロポーズかと思ったよ。

 彼は10代は自由な身でいたい、私には彼の様な余裕はなくて生きていくだけで精一杯です、でも弟の学費は私が出すと決めていました。だからヘルスの仕事は辞めないと彼に伝えました。私は彼を愛しています、これが原因で別れても仕方ないですね。2人で生きていくには問題が山積みで喧嘩が絶えません。

 私は性的なサービスでお客様を満足させます、心のケアを必要としている方もいます。店の外で個人的に付き合いたい、例えばお酒を飲んで会話をする、食事を楽しんだ後のサービスも含めて恋人の様に過ごしたい。私もプロなので恋愛ゲームなら付き合いますが、私の事を本気で好きな人はお断りしています。

 他人は愛する事を望んでいるのだとヘルスをしていて感じます。お互いに本気にはなれないけど、俳優の様に私を演じます。でも、お客様のどこかの部分(想い)を本気で愛さなければいけない。愛を演じているけどお客様に本気を見せないと仕事を続けるのは難しいです。貴方は本気で他人を愛していますか?

 先日、弟に会いに行きました。そこで尋ねられたのが弟の学費を稼ぐ為に私のやりたい事を我慢してる?と伝えられました。私はハッキリとNOだよと答えます。私はいつも幸せだよ、今の私でとても満足してる。だから弟にも今しか出来ない学校生活を楽しんでと言いました、弟は甲子園を目指していると話す。

 お客さんから何をしている時が1番幸せ?と聞かれます。私はベッドで過ごして、布団に包まれて暖かい、虚ろ虚ろと気持ち良く眠りに落ちてゆく、そして夢の中へ、私を忘れる事ができる。bedにいる時かなと答えます。暫くして安眠グッズをプレゼントしてくれたよ。私はお礼に耳掻きをしてあげました。

 彼から2人の幸せを1番に考えて欲しい、弟さんでも無く、仕事でもなく、彼でもなく、私とも違う。2人のこれからを真剣にみようよと告白されたよ。私は直ぐに返事が出来ませんでしたけど、彼の告白は家族になろうというもので、私の望みを叶えるものだったので、弟が自律するまで待ってと答えました。

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