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世界にただ一緒にいる彼(4)

昨晩、お風呂に入浴しようとしたら、湯が出ない事に気づいた。そういえばマンションの掲示板に今日から、耐震工事が始まるお知らせが張り出されていた事を思い出した。マンションの階段を登りながら、スマホを確認すると母親から電話があったと通知が来ていた。私の部屋は4階の角部屋である、最上階まで上がった時にフロアの入り口から千葉方面を見ると富士山がぼやけて見えた、私の住んでいる所が富士見ハイツと呼ばれているのだ。部屋の間取りは6畳一間に、簡易キッチンと風呂とトイレが共同になっている。私は家で家事をした事がない、お米も炊いた事がないのだ。ショッピングストアにも行かない、私のマンションの前にコンビニがあるので、そこで食事を済ませている。お腹がすけば、コンビニのイートコーナーで簡単に済ませるのだ。


母親に連絡すると、あんたが高校時代に立ち上げた、通販サイトが最近好調なので、サイトの手直しをしてくれないかという、私はshopの方はどうなのと尋ねると、人手不足でパートの子を採用しようと思っている。良い子居ないのと此方でも相談を持ちかけられた、私の通販サイトも本業の人だけでは手が回らなくなったのねと感じた。しかし、私は母親にごめん、今忙しくてshopの方に手が回らないのよと答えた、母は演劇が忙しいの、ちゃんと勉強してる?、ちゃんと卒業できるの?と質問攻めになりそうな所で私も電話を切った。4階の窓から外を見ると、住宅地になっていて、目の前は空き地が広がっている。東京なのに自然豊かな場所だ、昼間帰宅途中に大きな河の側では、夏祭りが開かれていて、祭囃子が心地よく耳元で響いていた。もう外は暗くなりつつあって、夕方18時を回っていた。私はコンビニを気にしていた、そんなに空腹ではないが、コンビニに行くというのに少しおしゃれをして出掛けた。


入り口を抜けて、雑誌コーナーで時間を潰しながら、イートコーナーを見ても、お目当ての人は来ていなかった。最近この場所でよく話す様になった立花という男性がいる。彼が同じ学校の学生であるのか、社会人であるのか分からなかったが妙に気が合った。それで毎週末、彼がここで食事をするのを楽しんで待つ様になったのだ。でも不思議なんだけど、1週間その事しか頭の中にない週もあって、勉強することや自分の事を表現したい事もなんだったのか思い出せない日々が続いていたのだ。それで、さっきの電話でも母親に最近なんか様子がおかしいわよと言われたり、私の事が好きな航にも演劇の事でそっけない態度をとってしまうのだった。

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