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21才の夏(14)

優子は高校1年の時、中学の時の友人の紹介で、週に数回、叔父さんとカラオケをしたり、食事をしてお小遣いを貰う生活をしていた。最初は週に数回だったものが次第に回数は増えていき、高校もサボる様になっていった。尚希は親の転勤で同じ高校に転校してきて、偶然優子と出会う事になる。優子と尚希はお互いに一目惚れして、尚希は優子がパパ活から抜けたがっているのを知る。弟のグループは優子を使い続ける為に、ガードを固くしていたが、尚希は力ずくで引き離そうとした、優子はもう辞めてと叫んだが、尚希はこんな命くれてやらあと組織に抵抗した。尚希は優子を商売から救うことに成功した、優子は尚希にばかやろうとつぶやく。


弟はその件から、仕事に身が入らなくなり、翔も組織から抜けようとする弟を持て余していた。そこで暴力組織で子飼いにされていた大吾に、弟を始末する様に指示したのだった。弟は組織を抜けられず、仕事もできなくなり、大吾の恐喝を恐れて、それから逃れる為に自殺してしまう。この事件は暴力組織と高校生が関わっていたとして社会で注目された、事件を調べると直ぐに大吾が浮上して自殺をほう助したとして、3年服役することになる。翔も取り調べを受けたが、大吾は翔の事は何一つ喋らなかった。翔は大吾に大きな借りを作ったのである。翔は当時の仕事は出来なくなったけど、暴力組織との関係は続き、今のキャバの仕事に至っているのである。


優子は弟の存在は知っていたけど、双子の兄・翔がいるとは全く聞かされていなかった。しかし、翔の方は優子と尚希の件は確認が取れていて、弟がおかしくなった発端として理解していた。だから優子に悪意を抱いていたし、尚希も利用してやろうと思っていたのだ。優子がこの事件について調べると言い出した時、翔はしめしめと思った。この事件に深く切り込めば、逆に熱い熱湯を浴びることになるからだ。翔は綾としけ込んでいる今、優子を助けれるものはいない。優子を思い通り、不幸に出来ると思うとゾクゾクした。ただし、優子が刑事の連絡先を知っていた事は、翔も抜け落ちていた。しかし大吾が例え、刑事に口を割っても知らぬ存ぜすでとうせば良かったし、もう一度大吾に優子を恐喝させれば済む問題だった。しかし優子も裏で、尚希としっかり連絡を取っていて、やばくなりそうな事は伝えていた。尚希は優子に危険が及ぶ事を察知していたのだ。翔を守ろうとする大吾と優子を守ろうとする尚希が正面から衝突した。大吾は尚希を大きな声で恐喝したが、尚希はそれにビビる様な男ではなかった。高校時代の優子を救い出した猛者の命を失っていなかったのである。しかし、大吾の後ろには大きな暴力組織がある事は事実で、尚希一人の力ではどうすることもできなかった。だが、優子は大吾から翔の命令で弟を恐喝したのだという、証言を得る事ができたのである。優子もこの事を翔に付けつけたかったが、尚希の事もあるので、店を辞めることにした。優子は歌舞伎町でキャバの仕事を失ったのである、翔は大吾をトカゲの尻尾切りにして、歌舞伎町の夜王の階段を登っていったのである。優子はこの事件の真相を知り、どう対応すれば良いか手をこまねいていた。しかし尚希と東京で生きていきたかったのである。仕事は何であれどうでも良かった。ただ自分に力がない事を呪ったのである。優子と尚希は歌舞伎町から離れて、二人で生きていく方法を模索しようとしていた。

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