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[SS]光の天使、僕の居場所

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僕は自宅に一人でいると私の表情を思い出す、僕の居場所である。家に居て仕事もせず結婚もしない、何かに取り組んでいる様子もない。少し普通の人と違う気がした、生活支援が必要な人だ。僕も…
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僕が地域の人と話が中々進みませんでした、自治会長が居ましたが、よそ者の僕には腹を割って話す事ができませんでした。しかし僕も当然だと思いました、身内の恥をベラベラ話す人は居ませんし、僕にも強引に話を進めようとした所がありました。僕もこの度の事件とは距離を置いた方が良いと感じました。

居場所のない人が集う場所で、一時期はヤンキーの溜まり場にもなりましたが、地域の人に説明しないとこの家もやっていけなくなると納得してくれた。食べる物や住む所のない人の生活支援も行い、僕と私の出会いも偶然が重なった。火事で身寄りのない障害者が不幸な事故で亡くなったと僕に話が来ました。

僕は母子家庭で育ちました、子供の頃は引っ越しする回数が多かったです。貧しかったですが奨学金で大学を卒業出来ました。寮に入っていたけど、各国の派閥があって、僕はどのグループとも仲が良かったのです。他人に相談される様になって、行き場所のないヤンキーや乞食の人が過ごせる家を借りました。

社会で私を受け入れる居場所はありません、私に社会の中を生きる力はないのです。両親も家族であり続けることが出来たなら、母を否定する事もなかったと思います。私がこれからの身の振り方を考える時、誰かに助けを求めるしかないと思いました。しかし何処に相談すれば良いのかも分かりませんでした。

母の生きる姿を見て、マイナスな事が頭に浮かんで、私は私の姿さえ認識していない所がありました。自分のありのままの姿をこんな自分と否定していましたが、普段の私の姿がそんなにいけないものなんでしょうか。誰かが勝手に決めた大人の姿があってそれに溶け込めない人を否定している様な気がします。

父がぶらぶらして働かずに、家にお金を入れなかったので、生活していくのに大変だったと母は言います。たまの休みにも家にはおらず、競輪・競艇・オートに出掛けて、一緒に暮らしていても父の事がよく分からなかったと言います。父との離婚が決まった時に母が自由に幸せを選択できて良かったと思った。

しかし母は生きる事に確信を持っていて、社会の中で強く生きる事が出来た。周囲の人からも頭の良い人だねと声を掛けられた、母は服を選ぶセンスがあって、色使いも他人の目を引いた。ただ私が母と過ごしていて、周囲の人への不満を常に言っていた記憶がある、父との関係性も気づくと修復不可能だった。

両親は私が小さい頃に離婚、母は別の人と再婚、父は家庭を守れる人じゃなくて、兄と私を残して蒸発したのだ。詳しい事は私も聞かされていない、祖父母も身体が弱く長生きではなかった。最近、離婚した母に近づいているのを感じて、私がこんなであるのも生まれながらにして決まっていた事なのだと思う。

母の口癖がこんな所に嫁に来るんじゃなかったと言い、父がお金をくれず苦労した話しを私の前で延々した。祖母に働け、料理を作れと虐められた事を母の人生を振り返る様に語る。母は仕事をするのが苦手で、何もせずに自宅で暮らしたかった。私も他人の輪の中に入るのが苦手な事は母に良く似ていますね。

私もアラフォーで生きていくのに、命を落とす様な不安を抱えては居なかったけど、私が感じる地域の課題は決して他人事ではなかったし、このまま放っておけば必ず私に火の粉がかかってくるものだと信じていた。しかし姉からは口止めされていたので、私の頭の中には亡くなった母の事が思い出されていた。

私も部落の課題だと分かっていたが、自分でも対応出来ずに、姉からは想った余計な事を口に出すんじゃないよと釘を刺された。空いた時間に生活の中で不安に感じている事をメモ帳に記入してみると、秋に収穫する芋の苗を植えたのだけれど、無事に育つか悩ましかった。喉元過ぎれば、熱さを忘れていった。

私は犬の散歩中、火災で亡くなった男性の家の脇を通ると自宅が炎に包まれる瞬間を見た事を思い出した。男性は難聴の障害者で一人で生活するには困難があった。20年前商店夫婦が生活苦で自殺した時に、地域課題へ対応しないといけないのに今回も十分に対処出来ない。私は犬のリードを強く握りしめた。

近所では不幸な事件が続き、皆んな自分の生活を守るだけで精一杯である。悪く言えば他人に無関心で自分の事を自分でどうにかするしかなかった。時代に乗り遅れた者が福祉の目も向けられずに、生きていく事が困難になった地域で、私も将来の事を考えれば不安だったけど、生きる方法を模索し始めていた。

私の住んでいる地域では若者は、学校を卒業すると地元を離れる人が多かった。姉と同世代の人も余り居なかったし、年老いた住民が生活できなくなり事件を起こすケースもあった。私は家に残る選択をしたけど、働いたり結婚をしなかったので、不思議がられた。先日も近所の男性が火災を起こし亡くなった。