見出し画像

生まれて初めて、母とドラマを毎週楽しみに見た

こんにちは、おり子です。

ブイブイ言わせたりリスカしたり家出したり沖縄住んだり山の上で暮らしたりスウェーデン行ったり留学をくわだててコロナに邪魔されたりという27年の紆余曲折を経て、現在はほぼニートです。

「ほぼ」というのは、フリーのライターとして小学生のおこずかい並みの収入があり、中学生のおこずかい並みになるべく営業活動やスキルアップにいそしむこともたまにあり、収益化できたらいいなぁとゆる~くブログ運営していることもあるので、完全なニートではない(と思いたい)んです。

ちゃんと納税してますよ。留学のために溜めてたお金もあるので、生活もまあまあです。日本は福祉が手厚いし。手続きは煩雑だけど。

それと、両親が応援してくれてるので。ありがたいことです。いい年してごめんねって思ってるよ。

ごめんねって思ってる。ほんとだよ、今ならわかるもの、お母さんが私に言ったことの意味。お母さんはスーパーマンじゃないから、きつい言い方になっちゃったことも、私が一人でいろいろネガティブに思い込んじゃったことも、わかっているよ。本当に本当に本当に申し訳ないと思ってる。けど、私の中にはまだほんのちょっとだけ、小指の甘皮くらいだけの「お母さんのせいだ」って感情もまだあるよ。見ないように気を付けてるけどね、たまにひょっこり顔を出す。お母さんのせいだ。

そういうとき、私はちょっと一人の時間をつくって、自分の気持ちを聞いてあげてから、お母さんへの思いを整理する。そうすると、私は思い出せるんです。お母さんに甘えたい、私はお母さんに認めてほしいんだって。お母さんに甘えたい。だから、お母さんとおしゃべりする。私は職場の人にも友人にも「ほんとよくしゃべるね」って言われるけど、母は私の3倍くらい話す。いつも私は「うんうん」って聞いて、たまに「それはさ」「○○ってこともあるよね」とか話を膨らませたりもする。

私は今、子供の頃にできなかったこと、本当はこうしたかったってことをしている自覚があります。お母さんに甘えたかった。用もないのにしょっちゅうお母さんとおしゃべりしに行きます。肩をもんで、一緒に晩ごはんの支度をして、食器を片付けます。ちょっとイラっとすることもあるよね、お互い。でも女同士ってこんなもんだよね。お母さんは退職して、ずいぶんふんわりしたね。ずっと帰ってなかったから、久しぶりに見たときはびっくりしたよ。あんなにいつもピリピリしていたのに、こんなに丸くなるなんて。私は毎日あちこち飛び回っていて、バスに乗ってお客さんを案内して新幹線のホームで明日のお客さんに電話をかけて、毎日違う旅館、違うホテルで起きて。思い出したくないことを考えないのにはうってつけの仕事だった。私は歴史とおいしいものが大好きだからその知識も役だったし、お客さんとのおしゃべりも最高に楽しかったし。もっともっといろんな人にこの日本を見てほしい、私の大好きな文化を伝えたいって夢を見て、節約も貯金も大の苦手なのに留学費まで溜めて計画もばっちり立てたのに、コロナでおじゃんになっちゃって、おめおめ帰ってきた。ほんとはコロナになっても帰りたくないって思ってた。言えないけどね、言えば悲しむでしょ、お父さんもお母さんも。ま、あの頃は「両親が悲しむ」なんて、意味もわからなかったし想像できなかったし考えもしなかったけどね。私の中の両親は、いつも正しくて強くて仕事をしている、そういう存在だったから、「両親」と「悲しむ」って結びつかなかったんだよ。あああ、こういうこと書いてると申し訳なくなってくる。私はガキだったし、母も父も仕事に一生懸命で余裕がなかっただけなんです。いちおう言っておきますが、私の両親は私を愛してくれてます。こういう記事かいてるとなんか、TwitterのDMとかに精神なんちゃらとか心のケアとか来るけど、そういうの大丈夫です。もうちゃんと、自分で心と向き合ったし、両親とも話し合いしたし(私が一方的に感情をぶつけてケンカになって両親を泣かせてしまったので話し合いとは言えないのですが)。

コロナになって旅行関係の仕事はなくなり、当然留学もできなくなり、家でできる仕事をしようと、学生のときにしていたwebライターの仕事を真面目に取り組んでみることにしました。

webライターの世界、というか、フリーランスの世界はおもしろい人がいっぱいいます。旅行業界で働いて常に動き回っていて誰かと話していた私ですが、ずっと家にいても退屈しません。やってみたいことも増えました。母も父も「そういう仕事もあるんだね」って言ってくれます。100点とっても当たり前だった小学生の頃の自分が、お母さんとお父さんに褒めてもらえてよかったねって笑っています。

以前の私は毎日帰る「家」ってものがなかったから、こんなにゆったりした時間を過ごすのは初めてです。

当然、テレビなんてまともに見たことなかったし、流行ってるドラマなんてタイトルすら知らなかった。

今期、初めて第一話から最終話まで、初めてドラマを見ました。小学生の頃は19時からはNHKって決まってたし。お母さんと同じドラマ見るなんて、たぶん初めてだったよね。おもしろかったね。

一緒には見ないんです。私はリビングで。母は自分の部屋のテレビで同じ番組を別々に見て、次の日「見た?」って話します。一緒の部屋にいるとしゃべっちゃってテレビに集中できないんですよね(笑)

意識高い人はよく「テレビはおわこん」「テレビ見てるなんて時間の無駄」って言います。その考え方、よくわかります。確かにそうだなぁ、って思うこともよくあります。

自分がwebサイトや自分のブログをつくってみて思うのは、たとえおわこんでも時間の無駄でも、なにかをつくるってすごいなってこと。きっとたくさんの人が携わっているんだろう。たくさんの時間とお金と労力がかかっているんだろう。いろいろな思いが詰まっているんだろう。仕事めんどくせーなとか早起きしたくねーとか終電逃しちゃったじゃんとか、地元のお母さん見てくれてるかな、とか。

お母さんと初めて同じドラマ見たね。民放の番組を一緒に見る日がくるなんて思わなかったよ。世の中にはおもしろいドラマつくる人がいるもんだよねぇ。よくこんなおもしろい話考えられるよね。話にピッタリのBGMつくれるよね。緊張感醸し出す照明の使い方するよね。役によってこの俳優さん雰囲気全然違うよね。ちゃんと期間に間に合うようにつくるの、すごいよね。私なんて納期守るのあっぷあっぷだよ。脱帽、尊敬。これがプロなんだなぁ。そんな風に思えるものをお母さんと一緒に見れて私、すっごい嬉しいよ。お母さんと同じものを見て同じ感想を持って全然ちがう言い方で話し合うの、楽しいよ。

来期もおもしろいドラマ、あるといいねぇ。