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【経営者対談】これからの宿泊価値の作りかた

このレポートは、9月25日に行われたオンラインイベント「宿泊以外の付加価値をつくる、新しい宿経営」を一部編集したものです。

今回のゲスト

株式会社チャウス代表取締役/一般社団法人那須朝市理事長
宮本 吾一

宮本さん

1978年東京都に生まれる。牧師の両親のもとに教会で育ち、そこで出会う様々な人に影響を受ける。高校生の通学途中で満員電車に違和感を持ち、通勤ラッシュを避けての通学を選ぶ。1999年尊敬するスコットランド人と出会い、その人との英語で会話をする語学取得の為、オーストラリアに1年間滞在する。2000年帰国後、自然の中での暮らしを選び東京から身一つで那須高原へ移住。2001年約6ヶ月間車で一県約1週間の日本の旅にでる。2002年約7ヶ月間ヨーロッパをバックパッカーの旅にでる。2003年リアカーを屋台に仕立てた「リアカーコーヒーUNICO」を開業。2005年ハンバーガー専門店「HamburgerCafeUNICO」を手がける。2008年より「OrganicParty」と銘打った音楽イベントをUNICO中心に開催。現在まで100回超を数える。2010年那須の生産者、事業者を巻き込み那須地域のマルシェ「那須朝市」を開催。 2014年マルシェから生まれた実店舗「Chus-チャウス-」を開業。 いろいろな経験を通して得たことは、心をひらいて繋がりを持つことが人生の中で最高に素敵な事の一つだということ。人生に喜びをもたらしてくれること。

株式会社ダイブ 取締役
山本 拓嗣

山本さん

1997年大阪学院大学経済学部卒。同年 株式会社帝国ホテル入社。東京・上高地・大阪の宿泊・料飲・ウェディング各部門で勤務。2001年に帝国ホテルを退職後、6か月間で世界一周旅行を経験。帰国後、昔からの夢であったラジオDJを目指すが2004年に断念。2005年株式会社アプリ(現、ダイブ)入社。2014年2月に取締役就任。

Q.二人のこれまでの経歴を教えてください。

(以下敬称略)

山本:大阪生まれの山本です。僕は宿泊業に出会ったのは18歳の時で、関西空港ができるくらいの時ですね。大学に入ってから、ホテルのベルボーイでアルバイトを始めました。仕事ではお客さんが何を求めているか?をゲーム感覚でやっていくことが楽しくて、どんどんのめり込んでいきました。

そのままホテル業界に行こうと決めて、卒業後は帝国ホテルに就職しました。よく言われるビュッフェスタイルの「バイキング」は元々は帝国ホテルのレストラン名だったりします。

就職して4年経った時に、昔からの夢だったラジオDJを目指すために退職しました。知見を広げようと6ヶ月で世界一周をして、DJを目指しましたが結局は挫折。そこで出会ったのが今の会社、ダイブになります。

宮本:宮本です。栃木県の那須で事業をやっています。地元の酪農さんをサポートできるような事業を展開していて、その一つとして宿を経営しています。地元の食材を使ったレストランをしたりしています。

一般的に宿業がやりたくて始めることが多いですが、僕は飲食店をやり、飲食店を機能させるために宿をやってる感じですね。普通とは逆のアプローチかもしれません。

酪農家と組んだお菓子「バターのいとこ」とかも作ってます。本来廃棄されるようなものを買って、そこから作ったり。このように、地域の中で課題解決ができるようなことをやっています。

場所は東京から車で2時間くらいのところにある、すごく自然豊かなところです。今やっているゲストハウスChus(チャウス)をやる前は那須高原でハンバーガー屋さんを10年やったり、もっと前はリゾートバイトをやったりしてました。

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*バターのいとこのパッケージ写真(HPより)

Q.どのような事業を展開しているのですか?

山本:ダイブではリゾートバイトの事業をやっています。人が環境を変えることってすごくパワーがあると感じていて。そこから派生して、リゾートバイトだけでなく、地方の人が東京に出てくる支援をしたり、留学に行くための支援をしていたりします。

事業で意識していることは「入口のハードルを下げること」です。これまで観光業は人手不足だったので、まずは相談してみませんか?というような形で話をして、そこからそれぞれに合ったアルバイトを提案します。

コロナ後は厳しい状況が続いていますが、冬のスキー場リゾートバイトなどの準備もしていきたいですね。

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*リゾートバイトダイブHPより

Q.コロナ前と後で、観光業の変化はありますか?

宮本:3店舗が一緒になっているので一概には言えないですが、昨年よりはやはり落ちています。ただ、もともと多角化経営しているので、宿業務ができないならできないでなんとかやっていくって感じです。9月くらいからは、むしろ去年より人が増えています。

山本:東かがわ市というとこでグランピングの事業とかもやってますが、そこは正直調子がいいですね。一棟貸しなので、密を避けられているのが大きいですね。

うちも9月くらいからは、人も少しずつ戻ってきています。ただ、やはりキツい宿が多いという現実はあると思います。旅行者側のマインドが変わってきていますね。

宮本:非日常を求めてる人は増えている感じがします。今まではすでに口コミで知っている場所の答え合わせ、みたいな旅行イメージでしたが、それよりもSNSとかに載っていない場所の価値を求めている人が増えてきている感じがします。

「地元の人しか行かない」ってキラーフレーズかもしれないですね(笑)


Q.宿泊だけではない価値を、どのように作っていますか?

宮本:今経営しているゲストハウスは、黒磯駅というところから500mくらいのところにあるんですが、そこに行くまでの通りに30~40代の方がやっているパン屋さんがあったり、家具屋さんがあったり、コーヒー屋さんがあったりします。

何が言いたいかというと「通り自体が大きいホテルの役割を担っている」という考え方を共通で持っているんですね。通りに人を集めよう、ってことです。商店街よりももう少し機能的にしたイメージです。

これは、ホテルが食事からサービスを全て完結してしまうとできない考え方なんです。例えばご飯はあそこが美味しいよ!みたいな感じで、ゲストハウスにきてくれたお客さんに紹介します。そうすると通りの中でお客さんが循環する形になるんです。こうすることでゲストハウスならではの価値に変わっていくと思います。

チャウス

*Chusのゲストハウス(HPより)

Q今の宿泊業でできることは?

宮本:友人がやっている和歌山のゲストハウスwhy kumanoが「オンライン宿泊」というものをやってます。ここで毎日5~6人のオンライン宿泊を実施して、その仲間でコロナが落ち着いたら行こう!って流れを作っているんですね。

これが天才的だなと思っています。実際に町をオンラインで案内したり、人たち同士をつなげたり。そういうソリューションのやり方はあるかもしれないですね。

Q.これからやりたいこと・やるべきことは?

山本:例えば沖縄のおばちゃんにまた会いに行きたい!みたいなことがもっと増えればいいなと思っていて。今後そういった機会を増やしていきたいですね。

宮本:色々なことをやっておくのがいいと思います。直接出会いや情報が集まるゲストハウスをやるのがいいですよね。
泊まるってやっぱり特別な価値があると思っているので。

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今後は観光業界も大きく変わっていくことになりそうです。
お二人ともありがとうございました!!


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