烏骨鶏は21日目に産まれる!?
来る日も来る日も孵卵器の湿度をキープするために水を確認し、もしかしたら暑すぎるかも!?と休日に風通しを良くしようと窓を開けに行ったりもした。
でも、烏骨鶏の卵を譲ってもらってから21日目を過ぎても、待ちわびた殻を割ってヒナが出てくる様子は見られなかった。卵を譲ってもらった方にも「ほとんどが21日目に産まれるから」と言われてこともあり、あぁもうこのままダメかも知れない…と不安な気持ちになっていく。
そして遠足の朝(予定日から3日後)、なんだか今日産まれそうな気がして、早朝5時に起きてすぐ、ダメ元でもう一回見てみようと小屋に行ってみる。
恐る恐るのぞき込むと…小さな穴が!
よく見ると殻を割った卵が孵卵器の真ん中にあるじゃないか!ほんとに!?割れてる!すぐに妻に連絡する。(前日夜が満月だったからじゃない!?と話す)
我が子の出産を待つような気持ちでこの1ヶ月を過ごしてきた。
毎日子どもたちがキラキラした目で、ひよこに会えるのを楽しみにしている姿を間近に見ながら「大丈夫、機械は温度管理が正確だから絶対産まれてくる」という自信が、予定日を過ぎてもヒビひとつ入らない卵を見ていると、自然界でも孵る確率は低いって言うし…とだんだんと弱気になっている自分がいた。
このまま産まれなかったら子どもたちが悲しむよなぁとか考えると、人間の力ではどうしようもできないことだとわかっているけど、悩んでしまう自分がいたのも正直なところ。
そんな時、小学生との朝のミーティングで、今の不安な気持ちの話をした。
「もしかしたら産まれないかも」という僕に、子どもたちは「いや、でも1つだけでも産まれるかもよ」「そしたら奇跡や!」「名前は”キセキ”でしょ」と前向きに不安な気持ちを吹き飛ばしてくれた。
もうダメかも知れない…これからの人生でそう感じることはたくさんあると思う。でもこの烏骨鶏の命の誕生が、子どもたちの記憶の中で、可能性があるうちは諦めないし、その逆境すらも楽しむんだ、とうエネルギーになっていってくれたら、この1ヶ月の苦労の甲斐があったというもんだ(涙)
そして子どもたちは、こうも付け加えた。「1羽産まれると、きっと周りの卵も刺激されて産まれてくるんじゃない」と。
そして無事に1羽が産まれた翌日の朝。
また一つ、卵が割れ始めていた。(後日、この卵は孵りませんでした)
ここは、毎日が即興劇のような、映画のような日々だ。カリキュラムも時間割もないし先生もいない。それでも日々はダイナミックで刺激的な学びに溢れている。
だから僕も、思い通りにならなくても、どんなエンディングになろうとも、子どもたちとならどんな日々も楽しめる気がしている。
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