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自然界という生国の民

以前から思いは続いています。
『苦海浄土ーわが水俣病』 石牟礼道子
『チッソは私であった』 緒方正人
『サンカーラ』 田口ランディ

『サンカーラ』の中から引用します。
「 波音のように、緒方さんの声が響いてきた。
「(中略) 夕方、舟の上で網を上げるまで夕陽を見ながらゆっくりしている時間がある。凪ぎのなかにいだかれているあのときが、なんとも、しあわせな時間でねえ。日本政府なんて俺には関係ない。なくてもいっちょこまらん。深い次元で対話をしてるんですわ、自然と。しかも一方通行じゃなくて、相互通行が成り立っているんです。テレビとは違う。テレビゲームとかインターネットじゃなくて。もっとこう、深い深い心の底でつながりあっている。この大自然とね。そういうってのはやっぱり好かれちょるんじゃあないですか、この空間から。好かれちょるってのは惚れられちょるってことですから。にんげんが大自然から惚れられちょる。なにものにもかえがたい、かけがえのないもの、無償の価値っていうんですかね、そういうものがあるんです。(中略)」
 
 水俣展のホールプログラムにおいて、講演の第一声を「私は魚の代理人としてここに立つ」と宣言した緒方さんは、やはり「海の神わだつみ」だと思った。満場の人々の前にたった一人立ち、緒方さんは語る。」

今日読んだ紛争解決学の石原明子さんの文章が素敵でした。
私も3.11の後に福島からの東京避難者への支援を行っていましたので、「もう子ども産めなくなる」といった不安を実際に聞いていました。
にんげんが大自然から惚れられちょるうちは、美しい子どもが生まれます。


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