初デートはダイエー横浜西口店
2019年2月11日、ダイエー横浜西口店が閉店したそうだ。
ここ数年サウナに行くようになってから横浜駅では東口ばかりを利用していたが、学生時代はよくダイエーに行ったものだ。そして現在の妻であるがんこちゃんEXとの初デートで訪れた場所でもあったな、と思い出した。
話は遡り2007年4月。大学二年生だった私は宮城県で開催されたアラバキロックフェスに友人と行った。
目当てはthe pillows。
初日メインステージのトリに大抜擢されていたのだ。
バンドも観客も魔法にかけられた様な、とにかく最高のライブだった。
翌日の大トリであるウルフルズを目当てに来たがんこちゃんもそのライブを観ており、御多分に洩れずthe pillowsに魅了されたそうだ。
興奮したがんこちゃんは帰りのバスでthe pillowsのワンマンライブのチケットをネットで購入したものの、誤って重複して申込をしてしまう。
後日チケットの譲り先を探している時に、私と同じ大学に通うがんこちゃんの友人経由で譲ってもらう事になり、連絡を取り合うようになった。
2007年7月15日、日比谷野外音楽堂で蓮沼2007 表というフリーライブイベントが行われる事を知った。
SNAIL RAMPなどのSKAバンドや、私の好きなミドリカワ書房が出演するとの事でがんこちゃんを誘った。
しかし、関東に大規模な台風が上陸するとの予報から前日にイベントの中止が発表された。
当日、幸か不幸か台風の影響は大したことないは無く、せっかくなので横浜駅で会う事になった。
姿も声も分からぬ女性と会う事に私は緊張していた。
ライブだったら転換の時に感想を言い合ったりできるけど、何もない中で会話持つかな〜〜と不安だった。
BEAT CRUSADERSのバンドTシャツを着た私は駅の改札近くでがんこちゃんと会った。
小柄でキュートな女の子だった。声は想像よりも低く、素敵だと思った。
前日決めたのか、その場で決めたのか覚えていないけれど、私たちはダイエー横浜西口店に向かった。
目的地は六階のあおい書店。
店内をグルグル周り、お互いの好きな本を勧め合った。
その中で、がんこちゃんがさくらももこの『永沢君』、『神のちから』を持っている事が判明した。
さくらももこの面白さが凝縮されているこの2冊の存在を知っている人にすら会った事が無かった私はえらく興奮した。
なんて最高な人なんだ!と思った。
当初は会話持つかな〜、と不安だったけれど杞憂だった。
変に気張る事もなく、時間を忘れ共に過ごした。
その後一階のフードコートに行き、銀だこを買った。
当時松本人志の番組 働くおっさんが大好きだった私は、出演者である吉田さんのたこ焼き早食いをどうしてもやってみたかった。
がんこちゃんにウケたい、といった気持ちよりもマジでやってみたかったのだ。
「ハ……ハフッ!!!ハフフッ!!ハァッ……ハフハフッ……!!!!ハーーーッ!!ハフッ!!」
と一生懸命にに食べたらめちゃくちゃ笑ってくれた。可愛い笑顔だった。
あの時お互いがアラバキロックフェスに行っていなければ、the pillowsがクソ最高なライブをしなければ、がんこちゃんが間違ってチケットをタブって取らなければ、多分私たちは出会っていなかったと思う。
運命だなんて大それた事言わないけれど、重なった偶然で知り合った私たちの距離をあの日のダイエーは縮めてくれた。
学生時代、本を買うといえばダイエーのあおい書店だったし、一階フードコート入り口側にある中華料理のお弁当屋さんは安くて美味しく、本当によく買った。遅い時間の割引シールは神だった。
システムに怯えながら挑んだサブウェイは今も覚えている。
今のロゴになる前のGUも全国に先駆けてテナントとして入っていた気もする。
もう長い事利用もしていないので寂しい!!だなんて事は無いけれどもそこそこの思い出があるダイエー。
あの時期はどうもありがとうございました。
最後に余談を一つ。
付き合う前の初デートはダイエーだったが、付き合ってからの初デートは下北沢でのライブだった。
何度も言っているエピソードなんだけど、先に下北沢駅に着いた私はがんこちゃんを待っている間、景気づけに放屁をしたらうんこを漏らした。
情けなさすぎてめちゃくちゃショックだった。
数ヶ月後、隠し事を続けた後ろめたさからあの時のうんこ事変について告白した。
めちゃくちゃ笑ってくれた。
その瞬間、私はこの人とずっと一緒に居たいと思った。
いや、何の話だよ。
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