旅行会社を起業したい!→家賃対策としてカフェもやろう
大きな街の小さなカフェ 第一章
●転職を繰り返す夫、ユートピアはどこにも無く…独立を決意
まずはカフェを始めるに至った経緯から。
私は中学生の頃「印度放浪」に影響され、いつか一人で世界を放浪したいと思っていた。その夢は20代後半に叶い、同じように自転車で世界を旅していた男と出会い、結婚、東京での定住生活が始まった。
夫は測量会社に再就職、私はテキスタイル図案を描く在宅ワークを見つけ、それぞれがそれなりに再出発できたかのようだった。
その後、夫は「自分の本当にやりたい事をやりたい!」という思いから、長男が産まれた後に旅行会社に転職、2人目の長女が産まれた後には更に別の旅行会社に転職した。その旅行会社は1年程で無くなり、親会社に吸収された。
夫はそのまま親会社に勤めていたが、やがてネクタイを締めるのが面倒くさいと言い始めた。この「ネクタイを締めるのが面倒くさい」は、夫が会社を辞めたがっているサインだ。分かる。
一方、私の在宅仕事は、楽しく多少のやりがいもあったが全く儲からなかった。利点をあげれば、自分のペースで仕事を進められ、子どもが急病でもすぐに保育園にお迎えに行ける、子育てと両立しやすい点だろうか。
時々就職活動をしてみた事もあるが、小さい子どもが二人いると話すと担当者は渋面になり、不採用が続いた。それならば子どもが小さいうちは、この仕事を細々と続けながら子育て優先で暮らそう。そのあと、仕事を変えてもいい。
そんな考えで暮らしていた中、東日本大震災が発生。在宅ワークの仕事が途絶え、私も岐路に立たされた。
そして夫もまた、そのタイミングで独立開業を思い立った。
「若いファミリー向けの海外旅行を売る旅行会社をやるよ。今住んでいる練馬で」
…え? ネットで航空券もホテルも個人が予約できる時代に、旅行会社を始める? とな?
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