ケイトウに学ぶ自己表現
ある日のことだ。散歩をしていると、道端にケイトウの花が群れを成して咲いていた。赤や黄色、オレンジ色と、まるで炎が揺れているような姿だ。初めて見たときは、どうしてこのような形になったのか不思議でならなかった。ほかの花と比べて、あまりに異質だ。もしかしたら、この花は他の花たちと違う道を選んだのではないか――そんな風に考えてしまう。
ケイトウには、「おしゃれ」や「気取り」、そして「風変わり」という花言葉がある。まさにその通りだろう。目を引く派手な色彩と独特の形。まるで、自分だけが特別だと言わんばかりに咲いている。だが、私はケイトウのその姿に、ただの「おしゃれ」以上の何かを感じる。彼らは、もしかしたら自分を装うことで、他の花たちから距離を置いているのかもしれない。
私たちの世界にも、ケイトウのような人間がいる。派手な服装で目を引く人、独特の言葉遣いで他者と距離を取る人、あるいはわざと風変わりな行動をして、自分の居場所を確保する人々だ。彼らは、どこか「気取り」を感じさせるが、その裏には、自分を守るための鎧が隠されているのではないかと思う。
「気取り」という言葉には、どこか冷たさがある。だが、ケイトウの花を見ていると、それが単なる自己表現の一部だと気づかされる。彼らは他の花と違う姿をしているが、その根はしっかりと大地に根付いているのだ。どんなに風変わりであっても、根本には同じく地面を踏みしめる強さがある。
そう考えると、私たちも他者とは違う部分を持ちながら生きている。誰かに合わせるのではなく、自分自身をどう表現するかが大切なのだ。たとえ風変わりに見えたとしても、自分を信じて生きていくことが、ケイトウのような生き方ではないだろうか。
ケイトウはただの派手好きではなく、誰かに見られることを意識しつつも、自分の信じた形で咲き続ける。そんな花の姿から、私たちが学べることは多いのかもしれない。
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