10年後の観光

「10年後の旅行業どうなりますか?」って、言われましても。

私がコンサルタントを辞める2017年、このフレーズを本当によく聞かれました。


しかしですね、そんなのわかりません!


少し先の未来さえ、明日の技術革新によって大きく変わります。

iPhoneを初めて手にしたとき、「facebookは10年後マーケティングの主流になる!」「その後は写真共有アプリが最も口コミ力の高いツールになるんじゃないか!」なんて誰も予想できませんでした。

それが今では、「おっけーぐーぐる」と言えば、近くの観光スポットがさっとレコメンドされる。そんな時代になっているわけです。


▼10年後の旅行業を考える理由

さて、冒頭の言葉には、「10年後も存続する会社づくりをしなきゃ!」という、経営者の心理が現れています。

やはり人間、”引き際”になって初めて、後先を真剣に考え出します。


引き際とはどういうことかと言うと。

旅行会社が最も増えたのは1995年頃で、その当時で約13,000社。これは、大手旅行会社に勤めていたデキる営業マンさんがこぞって独立したタイミングです。


つまり、その経営者さんたちがちょうど20年くらい経営をして、50代を超えてきたのが今くらいで、そろそろ真剣に考えなくてはいけなくなったんです。


自分が立ち上げたこの会社を、どうやって10年後まで存続させるか?という問題について。


▼ 旅行会社の未来を不安がる理由

ネガティブなことを言うつもりはありません。

しかし、このままではマズいな。と思いながら経営を行っている旅行会社の経営者さんは、本当に多いです。

その本質は、旅行業のビジネスモデルによるものですが、「コントロールできる領域が少なすぎる」というのが、5年間で300社以上の旅行会社を見てきた私の見解かつ主観です。


旅行会社は完全なる代行業であり、提供する全ての価値を外部に依存していて、自社リソースも、自社コンテンツもありません。

言わば、自社でコントロールできる領域が一つもない状態で経営を行っているという業態です。


宿泊施設の部屋を押える、エアーの価格、送客先のR%、etc…、、収益に繋がるすべてが、自社でコントロールできないもので構成させれています。


にも関わらず、顧客の都合で手配をし直し、行程と見積りを組み替えるという作業に追われる。。。

認めたくはありませんが、これ程非生産性を極めた業態はなかなか他にありません。


▼ 企画!企画!って、それ本当に企画?

旅行会社では行程作成を「企画」と言います。
「うちは〇〇旅行の企画力が強いです!」とよく言いますが、それって本当に企画でしょうか。


一般的なサプライチェーンにおける企画は、商品開発のことを指します。

対して、既にあるリソースを組み合わせることは、「製造」と言います。


そう考えると、旅行業における企画とは所謂「製造」であって、そもそも独自の価値を生み出すプロセスがありません。つまり、工場と同じように、均一的な商品を、最もコストを押えて製造し、最安値で消費者に届けなければなりません。

旅行業の方の口癖に、「他社にすぐマネされるから。。」というセリフありますが、なぜそれが口癖になるかというと、そういう構造的な問題があるからです。

情報社会化は止まりませんので、情報の非対称性も解消され続けます。つまり今後さらに、旅行の価値が企画にフォーカスされます。



私が知っている旅行会社には、きちんと商品開発を行い、自社にしかできない価値を生み、粗利を30%以上残すことができている会社もあります。(旅行業の平均粗利率は一般的に10〜20%前後)

それで「まあまあ取れた!」なんて言わずに、普通だと思っています。


どうなるかはわかりませんが、「どうするか」を考える必要はあります。


▼まとめ

旅行業の現場を約5年間、客観的かつ主観的に見てきた私が敢えてポイントを述べるのであれば、この2つになります。

①個人旅行の消費プロセスにおける、予約体験革命
②目的達成・問題解決のための、移動設計


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