氷河期の世代論から見る矢代という男
はじめにお断りしておきます。
矢代の話は後半に少ししか出てきません。
私は世代論とか好きじゃないし詳しくもありません。
※氷河期世代の定義はいろいろ複雑に絡み合い諸説あるようですが、ここではざっくり1970~1983生まれとします。
最近、とあるYoutubeの切り抜き動画を観ました。
氷河期世代自身が解説する、氷河期世代の人生という動画です。
私も氷河期世代ど真ん中ですが、先ほどもお断りした通り、世代論とかよくわからないし、自分の世代について突き詰めて考えたこともありませんでした。考えたところでどうにもならないという諦めもあります。
解説をしている奥野さんというのは1981年生まれで特に超氷河期と言われる、氷河期後期の世代です。以下画像内の項目が、彼が動画内で語った氷河期世代の特徴です。
個人的には彼の意見に完全同意とまではいかないものの、半分くらいは同意できます。ただ、これは氷河期世代の当事者である彼が思う特徴であって、客観的ではないというのが大前提なのですが、それを加味したとしても、こうして羅列されてはじめて自覚・共感する部分も多くあり、なんだか自分が哀れに感じてしまいました。私自身あまりそういった感情を持つことがないのですが、泣きたいのに涙も出ないような、悲しいような情けないような気持ちにさせられました。
この動画を見て、自分自身が持つ、社会への不信感(初めから他者をあてにしていない=諦め)とか、自己責任の捉え方とか、自己完結の仕方とか………自分自身のものの考え方に世代という枠組みでで説明できる部分があることが腑に落ち納得する部分もありました。
そして動画のコメント欄で、この動画を「号泣しながら観た」という氷河期世代の視聴者のコメントを読んだ時、ふと思い浮かんだのが『囀る鳥は羽ばたかない』内で、影山に「お前はかわいそうなやつだ」だと言われ、自宅アパートの窓際で自分の孤独と恋心を初めて自覚し涙を流す矢代の姿でした。
さて、ここからがようやく矢代の話です。
まず、矢代の年齢は36歳(連載開始時)です。
連載開始は2011年ですから、その年を基準とすると、矢代は1975年生まれということになります。単行本第1巻の発売が2013年ですのでそこを基準にしても1977年生まれ。超氷河期世代(1974~1982)ど真ん中です。
矢代の特殊な生育環境や性格を鑑みても、氷河期世代抱える闇が、彼のキャラクターに反映されていると思えるのは私だけでしょうか。
ここでまた動画のキャプチャです(2本目の動画内)
これ、矢代のこと解説してますか?っていうくらい当てはまっていませんか?
わかっています。わかっていますとも。
ラブソングを聴くと、すぐ推しCPの歌に変換してしまうような痛いオタク脳が発現させている現象かもしれません。
でも、氷河期世代という社会環境、そして彼個人の生育環境と生まれ持った個性が、36歳時点での矢代を形成していたのです。
矢代の解像度が上がった気がするのは、気のせいではないはず。
そして改めて、上記ツイートでヨネダ先生がまとめた年齢表を見てみると、非常に興味深いのです。
さらにそこから世代を分類すると下記のようになります。
表を作っていて、プレッシャー世代なんていうものを初めて知りました。
正直、年齢や属性によって相手を分かったような気になるのって大嫌いだったのですが、こうして調べてみるとかなり面白い。
もちろん、氷河期世代に限らず、それぞれの世代にそれぞれの社会情勢が反映された困難や問題がありますので氷河期世代が特別ということもないのかもしれませんし(これも氷河期世代特有の考え方なのかも)、占いみたいに誰にでも当てはまるようなことなのかもしれません。
まあ、そういう見方をしてみるのも意外と面白いかなぁという話です。
そろそろ囀るの新刊の情報が出てきてほしい今日この頃ですが、こうして待つ時間にあれこれ余計なことを考えながら待つというのもまた楽しいということで。
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