ぼくと思い出したこと

人間って記憶の取捨選択を意外としている。
なにかのきっかけで一切思い出していなかったことを急に思い出す。誰かの言葉を借りると「記憶のフタが開く」ことがある。

私は何を血迷ったか高校1年生の入学当日にバイトを始めてから途切れることなく様々なバイトを転々とした。
いわゆる『バックレ』の経験はなく必ず3ヶ月以上は勤めた後にしっかり辞めていたのだが、唯一3か月に満たず辞めたバイトがある。

レンタルビデオ屋。

とはいえ自身の都合でなく店自体がなくなったことによるものなのだが。

前段の話に戻って。
このバイトの記憶は勤務期間が短かったことから、特にフタが閉まりやすいものであったのかと思う。
ただそんな思い出もひょんなことで箱から飛び出すのだ。

https://twitter.com/_M_A_Q/status/1668992027827007489?t=zfuCOGS_vTOSdO4tMtmfIA&s=19

月イチくらいでやってる大喜利配信『モー点』の共演者である魔球さんのツイートだ。

こんなツイートで興味を示した奇特な方のために一応モー点のアーカイブも貼っておく。

「ジジイがでてくるAVのパッケージ」なんてものは自発的に探さなければお目にかかることはない。きっと魔球さんはおぞましい癖(へき)を持った方なのだろう。
共演者とはいえ性事情は内に秘めてほしいため語り合うことなど一切ないのだが、これを以て尚の事触れないよう心に誓った。

さて、また前段に戻ろう。
魔球さんは意図的に、例えばファンザなどで検索ボックスに勢いよく「爺」とタイピングをする。
これと同じ結果をレンタルビデオ屋に勤務することで得ることも出来るのだ。

私は学生時代非常に不真面目であったため、平日昼間のだらりとした時間にシフトを入れていた。
レンタルビデオ屋の平日昼の客はAVを大量に借りる、返す客のみ。と言って過言でない。

「AV、いいじゃん」
そんなことを思う人もいるかもしれない。しかし平日ののどかな昼下がりにガツガツの裸体を見る、見続けるのは存外キツい。
しかもレンタルビデオ利用客の傾向なのか、世の中全てがそうなのか、いわゆる『熟女』を始めとした年配系のジャンルがやたらめったら借りては返される。

ここでやっと話がつながるのだが『爺』『婆』ものも大人気なのである。

業界のか、自分がいた店だけかわからないが専門用語で「フルレン」という言葉がある。
返ってきてはすぐ借りられる人気作のことを指す。

『農家のおばあちゃん、うんこ』

『農家のおばあちゃん、うんこ』。フルレン作であった。人気のあるものはあまり貯めずに棚へ戻す必要がある。
毎日、昼飯を食べた直後返ってきた『農家のおばあちゃん、うんこ』を棚に戻しに行っていた。毎日。
ほっかむりを被った婆さんのなんとも言えない表情。股ぐらにモザイク。そんなパッケージ。

思い出した。こいつのせいで。
『農家のおばあちゃん、うんこ』


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