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詩集:どこにもいけない

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行き場もなく日々わだかまる言葉達は、詩の中以外はどこにも行けない
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2020年3月の記事一覧

詩:足首、もしくは母趾球

静かにすいこまれていくように

固く冷たくなっていく日常においては

水底に深く沈んで溜まっていく澱みをすくい取ることが大切で

なぜならそれはそれだけが生きて動く言葉になるから

微細な雨粒が顔中にはりついて

光たちが柔らかくその動きをうねらせ

街の全ては例外なくその姿をさらけ出すことになる

人はうなだれ

足元ばかり見つめ

細やかな日常の出来事に思い巡らせ

男たちの尻や腿はすっかりし

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詩:そらをはなれて

詩:そらをはなれて

めのみえないとり
なかまからはぐれ
するどくないても
こだまむなしい

きずついたこころ
つかれたこころ
みずうみにうつせば
ほろほろと
なにかがくずれていくようで

なきつかれ
まぶたをとじると
きおくのそこで
なにかがゆれている

ひとつ
ふたつ
みっつ
よっつ

かぜにゆれる
とおくのき
いのちはざわざわと
もえているのだが

きえさったあのひびが
もしもほんとうに
もどってくるのなら

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