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虹色眼鏡 第10回 チサ/さようならアーティスト ポッピンシャワー、アリゾナに恋をして(仕事文脈vol.18)
長い間パソコンに向かってしかめ面をしていたので、疲れて背もたれに寄りかかって天井を見上げたら、深煎りコーヒー色のファンがゆっくりと回っていた。南国の避暑建築を意識したカフェダイニングは、柱や壁に天然素材らしさを演出した木材を使用していて、ドラセナやヤシの木は緻密に計算されたディスプレイで部屋に置かれている。私と恋人は、ハワイアンなメニューからそれぞれプレートのランチを頼んで、きゅうりはいらない、だとか、これは完璧だ、だとかいいながら平げて、起きてから1度目の食事をした。それが済むとそれぞれがするべきことをした。それは暖かなのどかな休日で、食後に彼女はコーヒーを頼み「フレンチプレスは油分が多く出るから濃厚な味がする」と言い、私はアップルサイダーをテーブルに置いて、道を通り過ぎる車のボンネットで反射する太陽の光が時折グラスに当たるのを見ていた。サイダーの空気が氷の間からパチパチと弾けて、車道沿いのカフェダイニングが丸ごとサイダーの水槽になっていくのをみていた。
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