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虹色眼鏡 第12回 イースト・バイ・ノース・イースト チサ/さようならアーティスト(仕事文脈vol.20)

春が始まったばかりの空気はまだだいぶ冷たさを残していて、顔の横を過ぎていく風は耳を冷やしていく。何台もの大型の貨物トラックが、濁った排気ガスを出しながら横を追い抜いていった。私は最近手にしたばかりの自転車で得意気に甲州街道をトバしている。東北東に向かって漕いでいた。最近の移動手段はもっぱらずっと自転車で、どこへいくのにも8速のロードバイクを漕いでいる。ボディはスリムで、落ち着きのあるスペースブラックの色がとてもイカしているそのバイクが一目見たときからとてもお気に入りだった。歩きと電車の時間を含めたらあまり移動の時間が変わらないことが多く、終電を気にしたくない時は極力荷物を減らして、セットした髪が崩れないようにスカーフを巻いた。バーガンディーとターコイズブルーに大きめの花柄があしらわれたスカーフで、それを三角に折って顔の下で蝶結びにした。昼間は太陽が眩しいからラウンドのサングラスをつけた。

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