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「聞く」という仕事 辻本力 第六回 リモート取材への苦手意識について(仕事文脈vol.19)

 時勢を受けて、この連載でも書いておくべきだろうと思いつつ、躊躇していたネタがあった。「リモート取材」について、である。

 コロナ禍以降、人的接触を避けることを目的に、ZOOMやSkypeなどのWeb会議サービスの利用が一気にポピュラーになった。これによって、遠方にいる相手ともオンライン上で容易に対話をすることが可能になった。
 私の場合、2020年前半の取材は「まあ、気をつけて(対面で)やりましょう」という感じだったのが、後半に入り対面/オンラインの割合が半々くらいになり、2021年前半はややオンライン優勢、後半に入った現在また半々、といった塩梅だろうか。


 今ではだいぶ慣れたが、正直なところを言うと、リモート取材にはいまだ苦手意識がある。単純に、やっぱり人とは直接顔を突き合わせて話したい、という思いが強いというのもある。オンライン上でしか顔を合わせたことのない人とは、果たして「会ったことがある」と言えるのか? どうにも手応えが薄いというか、なんというか。以前は、取材後には「お疲れさまでした。じゃあ、軽く行きますか」と、打ち上げ的なものをやることも少なくなかったが、当然のように物理的距離があるリモート取材では、それはない。物足りなさは、そういうところに端を発しているところも少なからずあるかもしれない。

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