見出し画像

(part2)続・堂々巡りの対話――「社会課題にのりきれない」背景にあるもの(仕事文脈vol.24)

part1から引き続き、part2(中編)をお送りします。

社会課題が「自分ごと」にならないのはなぜか―前号の座談会企画「堂々巡りの対話」には、さまざまな反響がありました。面白かった、モヤモヤする、共感する部分もあるなど……このテーマに関心を持つ人が多そうだったこと、そして前回文字通り堂々巡りのまま終わったので、もう1回話をしてみようとなりました。今回は、企画の発端となったタバブックスアルバイトスタッフ椋本湧也さん、同年代の友人で『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』著者の葉山莉子さん、かつてのスタッフ仲間のデザイナー井上麻那巳さんと編集部・宮川の4人で語り合いました。

対等な人間として見ていない

宮川 今回、何かテーマがあったら話しやすいかも、ということでちょうどジェンダーが描かれている映画『バービー』『哀れなるものたち』があったのでこれで話してみようとなったんですよね。それで映画好きの井上さんと葉山さんに来てもらいました。

葉山 『バービー』はすごくジェンダーの話、女性と男性の役割の話を構造的に描いている話だなと思って。ケンが現実世界に行ってバービー世界に戻ってきて男社会を作ったけど、特権的な立場の男性は、女性にああやって作り上げてきた世界をぐちゃぐちゃにされているような気分なんじゃないかなって私は見て思ったんですよね。本来は男だけで作った社会なのに、女が入ってきてめちゃくちゃにされてるみたいな感覚を持ってるのかもしれないなと思って、そういうものを反転させて描いている映画なのかなって。だから最後にバービーのひとりが「これからは男性も活躍しなきゃね」って言うんですけど、男性が「裁判長にしてくれ」って言ったら「いきなりは無理だよ、徐々にね」って言われるんですよね。これ今現実で女性が男性に言われてることだと思った。それをすごく描いたんだろうなと思う。


バービー Barbie 世界で一番有名なファッション・ドール、“バービー”の世界を初の映画化。完璧なバービーランドから、人間の世界へ―。2人が知った驚きの秘密とは?(公式サイトより)監督:グレタ・ガーウィグ 2023年製作/アメリカ https://wwws.warnerbros.co.jp/barbie/


ここから先は

2,540字 / 1画像

¥ 100

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!