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「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」福島邂逅編~クラフトワークと音頭の邂逅~

皆さんこんにちは。
現代音頭作曲家の山中カメラです。

それでは今回は番外編です。

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シリーズ(番外編)「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」
福島邂逅編~クラフトワークと音頭の邂逅~

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※この時の音頭はすでにビクターよりCDが発売されており、今回のCDブック作品集には入りませんが私の音頭人生の中で大変大きな出来事であったので番外編としてここに掲載いたします。

2013年。
あの、あまちゃんの音楽で有名な大友良英さんが、福島復興イベントである「PROJECT FUKUSHIMA!」で盆踊りを開催するというニュースを目にした。
大友さんとは2009年の別府最適音頭でお会いしてから、何回かお会いする機会があり、連絡先も知っていたので、「僕にも何かお手伝いさせて下さい!」と(今思えば)失礼ながら直接連絡をして無理やり仲間に入れてもらった。

8月、1人福島県に向かい、PROJECT FUKUSHIMA!の皆さんと合流した。
まだまだ震災の爪痕が街のいたるところで確認出来た。

大友さんの作曲した「ええじゃないか音頭」は素晴らしく。風刺と多幸感に満ちていた。
「2009年に体験した別府最適音頭を参考にさせてもらった」と直接大友さんに言われたことは本当に嬉しかった。

大友さんからの依頼は、福島の伝統的民謡である「相馬盆唄」をPROJECT FUKUSHIMA!バージョンにアレンジしてほしいというものだった。
この頃すでに同じPROJECT FUKUSHIMA!の発起人である故、遠藤ミチロウさんが「新相馬盆唄」として歌詞を大幅に替え、原発を痛烈に批判する曲を歌っていた。
私はどうやってもう一つの「相馬盆唄」を作るべきかとても悩んだ。
「相馬盆唄」はそもそも五穀豊穣、子孫繁栄を祝う、とてもおめでたい歌詞の民謡である。
私はあえて歌詞は変えず、音楽のみでこの福島の現状を世界に発信したいと思った。
この音頭を大勢で踊ることを、福島にとって意味のあるものにしたかった。

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相馬盆唄のメロディーに切ないコード進行を繰り返し繰り返し使った。
(このコード進行については後術)
そして、私が昔から大好きなクラフトワークの「放射能:Radioactivity」の歌詞とメロディーを引用してリフレインに「Stop!Radioactivity」という歌詞を付け足した。
これをPROJECT FUKUSHIMA!のメンバーである遠藤知絵さんがイノセンス溢れる声で歌い、大友良英スペシャルビッグバンドの素晴らし演奏でとても良い曲になった。

それでは、「新生相馬盆唄」を聞いていただこう。

振り付けは「珍しいキノコ舞踊団」の皆さんです。

※CD版には著作権の関係でクラフトワークパートは収録しておりません。

この年のPROJECT FUKUSHIMA!には、闘病前の坂本龍一さんも参加されていた。YMOからすべての音楽人生が始まった私にとっては正に神様のような存在で、同じステージで、しかも僕のアレンジした「新生相馬盆唄」をすぐ隣で坂本龍一が演奏している!ということが夢のようだった。
しかも、この「新生相馬盆唄」に付けたコード進行(Ⅳ→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅴm[→Ⅰ7])は、YMOの「perspective」という曲を研究して発見したものであるし、同時にこのPROJECT FUKUSHIMA!に参加するきっかけになった2009年の「別府最適音頭」に使ったコード進行でもある。
クラフトワークもYMOから知った。

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「桐島、部活やめるってよ」という映画で「自分が大好きなものと、自分が今やっていることが繋がってるなって思うときがあって、、」というセリフがあるが、まさにこの心境で、大友良英さん、坂本龍一さんたちと「新生相馬盆唄」を演奏しながら、ステージの上から見た5000人の盆踊りは、生涯忘れられないであろうと思う。

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受け入れてくれた大友良英さん、PROJECT FUKUSHIMA!の皆さん、素晴らしい盆踊りに関わらせていただき幸せでした。ありがとうございました。

そして大友さんには拙著「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」のためにオビ文を書いていただけました!!!大友さん、ありがたいお言葉ありがとうございます!
大友さんからエールをいただいたオビ文は是非作品集にてご覧いただけますと幸いです。

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「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」(タバブックス)

次回、「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」甲府風林火山編 ~フリースタイル音頭の誕生につづく!


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