見出し画像

【寄稿】台湾のナイトクラブで婚姻平等を体験する・前編/燈里(仕事文脈vol.23)

クィアで病人で外国人として2017年から2022年の5年間を台湾で過ごした。

子供の頃、女の体に自分の肉体が近付いていくことが怖かった。思春期、男の体を受け付けないのはどうしてなのだろうと思った。成人してすぐ慢性疾患に罹り、何年も寛解状態に至れず焦った。障害や教育環境によって物心ついた時からいつも口籠もり、自分の言葉が他者に通じない恥ずかしさと自意識に囚われた。性や体の不安や違和感を人に相談するのは尚更難しく感じた。自分のままならない身体と発話に閉じ込められ、よって必然的に内観する過程で、マイノリティとして1つの社会に生きる自覚を持つようになった。構造的に周縁化された者達の生に目を向けることで立ち上がる文化観に強く共感した。給付型の奨学金を取って進学した大学院や留学では被抑圧者の共同体での文化活動に着目し、その現場に足を運ぶようになった。その経験が私を台北のナイトクラブへと導いてくれた。

私が台北市に引っ越した2017年、台北の公館区には伝説のナイトクラブ、Kornerがあった。

ここから先は

2,366字 / 3画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!