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男には簡単な仕事/ニイマリコ 第6回 相応と美学と「アップデート」(仕事文脈vol.23)

39歳になった。来年ついに四十路に突入する。それでここ数年うっすら考えてきたことは「破れたジーパンをいつまで穿くのか」ということである。

いくつになってもご飯や酒席、たまには温泉でも行こうよ、と誘ってくれる音楽関係以外の友人たちは、流行りものを教えてくれたり、それぞれ違う観点からのアドバイスをくれたりと、ありがたい存在だ。まったく安定しない私でも彼女たちとの縁は保っていたいし、何より声をかけてくれたら嬉しいし、過ごすのは楽しいしで、ほいほい出かけて行くのだが、やはり三十路半ばに入ると如実に出てきてしまったのが服装、見た目の差である。ショウウインドウや、レストランの鏡に映る、どんどん大人として洗練されていく同年代の彼女たちと並ぶと、私はまるでデカい猫背のガキなのだった。いや、そんなかわいらしいものでも最早ない。だらしのない恰好をした非正規雇用の中年(戸籍上)女性。これが現実だ。

「ニイマリでも一応そんなこと考えてるんだ?!」

気心の知れた友人たちは容赦なく爆笑する。一応とはなんだ、一応とは。これでも20代前半はな、けっこう大きな会社の事務のバイトに入ったんだ。

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