見出し画像

大きな営みと、自分の生活 ケアマネージャーに聞く「働かずに家にいる将来」(仕事文脈vol.4)

働かなくても、親が面倒みてくれるから、実家にいる(ニート)。
夫が外で仕事をしているから、私は家のことをする(専業主婦)。
親が動けなくなったら仕事より介護を優先するのが当然(介護退社)。
わりとよくある考え方である。実家でニート、働かない主婦、介護で仕事を辞める。平和な家族の象徴のようでもある。が、それが一旦何か起きたとき、あるいは20年、30年続いた結果生まれるのが「働かない中年」。長年ソーシャルワーカー、ケアマネージャーとして多くの家族と対峙してきたつつみいくみさんは、この働かない中年の問題は深刻、と指摘する。実家、主婦、介護、一見居心地よく守られているようなこれらの環境は、安全ではないのか。仕事と家族、介護の現場で起きている危険について聞いた。(編集部)

「経済DV」
女性が夫に対して経済的に加害することを法律が助長

男性が、女性の方から結婚後にたかられて、DVのようになることがあります。夫がリストラにあったり、病気になったりしたとき、会社員ではなく個人事業だったりすると、突然収入がなくなることがありますよね。もちろん会社員にもそういうリスクはあります。そういうときでも「絶対に働かない」っていう女性がいます。夫が働けなくなっても、収入が激減しても、自分が働いて生活費を稼ごうと思わない。だったら夫を切り離して家族をサイズダウンするんです。男性は家を出され、住宅ローンを払い続ける。さらに、別居していても婚姻関係は続いているから「婚姻費用」を請求されます。家のローンを払ってもらう代わりに生活費は自分で稼ぐ、というのではなく、婚姻費用として少しでもお金をもらおうとする。夫の側もなんとか抵抗しようと思ったら、ローンを意図的に破綻させて、妻を追い出すことはできますが、ローンを破綻させたらブラックリストにのって社会的信用がなくなってしまう。でもそれくらいしないと、と追いつめられてる男の人もいるんです。

ここから先は

3,357字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!