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続・東京サバイバル マクロビと狩猟と店と/竹林久仁子(仕事文脈vol.16)

 

   前回、2014年5月発売の『仕事文脈vol.4』で初めての文章を書く機会をいただいた。ちょうどその頃自分の体を見つめ直す機会にあってなんやかんやと狩猟免許を取り始めた頃だった(詳細は『仕事文脈vol.4』「東京サバイバル マクロビと狩猟と」にて)。
 あれからはや6年、宮川さんとのいつもの会話「そろそろ続編書かない?」。書きたかったのだがこの6年があまりにも濃くてなかなか書けなかったのだ。



2014年4月
「所持許可おりましたよ」。管轄警察署の担当からの電話だった。
 約1年近い時間をかけて猟銃所持の許可がおりた。前の年にすでに狩猟免許は取得していた。当時試験場でミニスカート姿の綺麗な女の子に出会って思わず声をかけたことを思い出した。
「えっ?なんで猟をするかって?知らないんですか?今流行ってるんですよ、狩りガール!!」
 いや、全く知らないし。すでに39歳バツイチ独身おばさん狩猟始めますは狩りガールには所属できないとすぐ判断できた。
 ま、そんなことはさておきとりあえず全て揃った。さて、これから猟場をどう探すかだな…知り合いを辿ればなんとかなるだろうなんて気軽に考えていた。だが、そうは簡単にいかない現実を知ることになっていった。

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「猟場ね……」
 難しい顔で店主は言った。
 猟場を探すにあたって知り合いの伝などあてにならなかった、最終的に最寄りの銃砲店に半ばすがるように相談に行ったのだ。
「女性は特に難しいね……」。店主はさらに続けた。話によると、やはり猟の世界はまだまだ男性が中心であって女性は体力的にも技術的にも努力が必要であるようなこととかいろいろと話を聞いた。結果、相手にはしてもらえなかったようだ。なんとかどこかで認めてもらえるようにととにかく1人で毎週のように射撃場に練習へ通うことにした。自主練の始まりである。
 初めての銃は中古のミロクの上下二連銃12番でトラップ競技用の銃だった。15万円で購入した。何もわからなかった時に知人が良かれと勧めてくれた。始めての猟には上等だよと。後にその銃は鳥撃ち用に使用するのだが、最初に大物撃ちを希望して購入したのには違っていたようだった。これが狩猟あるあるってやつの一つで狩猟希望者誰もが最初によく経験することかもしれない。情報が少なすぎて目的に適した銃に出会えないことはよくある。目的は違ったが今回は上等な銃を安く譲っていただけたことは良かった。そんなきっかけで自主練習はクレー射撃のトラップという競技をすることになった。
 射撃場は東京都内には存在しない。自主練習といっても車で最低1時間から2時間かけて東京近郊の県の射撃場まで行かなければできない。やってみないと見えなかったことがだんだんと見え始めた。交通費だけでも5千円から1万円、ガソリン代さらに射撃場使用料、弾代と思った以上の出費がかかる。法律で1日の実射の弾の限界が400発なのだが、まずそんなに撃てる体力と財力がない。そんなに撃ったら1日で3万円から4万円はかかる。そんなの毎週なんて続かない。最初は1ラウンド25発撃つ体力さえないし。道のりが怪しくなってきたように感じた。このハードル超えないと猟できないじゃん……。
 仕事は自分なりに独立し始めた頃だった。マクロビオティックやベジタリアン、ヴィーガンをテーマにケータリングを始めたばかりだった。まだ店舗はなく個人の自宅やキッチン付きのスタジオなど条件の合う現場のみの仕事しか取れなかった。このままでは経済的にも怪しいのでは……。わずかな貯金を切りくずしての銃の練習は続いた。それと同時に銃砲店には足繁く通ったのだった。少しでも猟につながる情報があればと。

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