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【連載】40歳、韓国でオンマになりました/木下美絵「ようこそ共同育児の世界へ」(仕事文脈vol.22)

 例年になく多雪で外出に難儀した冬が終わり、韓国にもようやく春が到来した。こちらは日本より一足早い3月が入学式・新学期シーズン。満2歳を迎えた娘も、3月2日(3月1日は三一節〈注1〉で祝日)から保育園2年目に突入した。最近は園でも笑顔が増えすっかり慣れた様子だが、去年の今頃はオンマと離れて初めての社会生活に戸惑いと不安と寂しさを抱え、毎日泣きながら登園していた。

 そんなことを懐かしく思い出しながら、怒涛のように過ぎ去った1年間を振り返ってみると、言わずもがないろんな出来事があった。海外で、ほぼワンオペ育児。困ったり、迷ったり、ホームシックになったり(在韓15年を過ぎても依然としてあるんです……)。そのたびに駆け出しオンマの私を特に支えてくれたのは、同じく子育て中の周りのオンマたちだった。

 16時のお迎え時間が近くなると、毎日頭を悩ませられた。夕飯までのたかが2〜3時間、と思われるかもしれないが、元気のあり余る&いやいや期の子どもと過ごすにはものすごいエネルギーをしぼり取られた。おもちゃやシールなどおうち遊びのラインナップが枯渇してくると、近所の公園やスーパーを何か所も回る日々。子どもと二人きりの時間に限界を感じていたのは、娘と同じクラスのオンマたちも一緒だった。

 「今日どこ行きます?」ある日、降園時間が同じでよく顔を合わせていた2人のオンマが声をかけてくれた。その日を機に、オンマ3人と子ども4人(うち2人は双子)は、ほぼ連日一緒に遊んだ。向かうのはいつもの行き慣れたアパート(日本でいうマンション)内の公園だったが、子どもたちは子どもたち同士で遊び、その様子を見ながら親は親同士で話もでき、気づいたらあっという間に時間が経っていた。

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