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時間をかけて今を作ってしまった 宮川真紀

 시간이 없어요. 時間がないです。 

 韓国語を勉強し始めて、あいさつ以外でいちばん先に覚えた文。時間がない、そんなことずっと言っているのですーっとインプットしてしまったのだろうか。イヤですね。

 この数ヶ月も、時間がないといえばなかった。夏休み期間を使ってあいちトリエンナーレに行き、2日後にソウルに取材に行った。徴用工問題、ホワイト国除外、平和の少女像展示中止、GSOMIA破棄、とじわじわじわじわ日韓関係が悪化していた最中である。もともとそんな予定ではなかった、あいトリはジェンダー平等をうたっていたからチケットを買っていたけれど「表現の不自由展・その後」のことは知らなかったし、ソウルの本を作る計画も特になかった。けれどもいろいろな事態が起こり、行かざるを、やらざるを得なくなってしまい、勝手に時間がなくなってしまったのである。

 いや、だけど時間はなくなったのだろうか。はからずもそんな時期に両方に相次いで行ったことで、何か二重に時間を感じた。二つの国、二つの社会には、別の時間が流れている。当たり前だけどそうだった。ただし別である時間をそれぞれどう使っているのか、その違いに愕然とした機会でもあった。

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