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「聞く」という仕事:第二回 転ばぬ先の杖/辻本力

 前回は、インタビューという一期一会の場を楽しむためにも、準備するのはいいが、そればかりに囚われ過ぎない方がいいんじゃない? というようなことを書いた。その一回性を楽しもう、と。

 なのだが、そうは言っても、私はめちゃめちゃ事前に準備をするし、なんならきっちり話の流れをシミュレーションし、それに沿って質問事項を考える。ここの部分は、とにかくしつこくやる。というのも、インタビューの場を楽しむには、心の余裕が必要だからだ。そのためには、インタビュイーの情報や、キモとなるテーマやポイントが頭に叩き込まれていなければならない。というわけで今回は、インタビューにおける事前準備について考えてみたい。 

 突然だが、私は、インタビュー中に頭が真っ白になる“かもしれない”ことが怖い。 

 「あれ、俺はなぜこの質問をしようと思ったんだっけ?」 

 聞くべき質問は目の前の紙にある。しかし、緊張などによって、その質問に至った筋道が飛んでしまうことが、ごく稀にあるのだ。

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