見出し画像

活躍しない仕事 宮川真紀 (仕事文脈 vol.07)

 こんどは「一億総活躍社会」だと? これは近未来SFか、ブラックユーモアなのか。と、耳を疑ったのはわたしだけではあるまい。
 思えば安倍政権になって以来、次々繰り出される異様な惹句にイライラさせられる日々であった。「日本を、取り戻す」「美しい国、日本」「三本の矢」「汚染水は完全にブロックされている」「健康問題については今までも現在もそして将来も全く問題がない」「3年間抱っこし放題」「戦争を未然に防ぐための法律」「景気回復、この道しかない」「移民を受け入れるよりも前にやるべきことがあり」……発言をネットで確認する作業ですら、腹立たしい。戦略なのかしらないが、これらはなんとなくわかりやすく、するするっと耳に入ってくる。上手なコピーライターさんが作ってるんでしょうね。だが、よく考えると何か変、よくよく調べると意味不明または、てきとう。ほんとうに疲れる。
 で、安保法制を強行で通した直後に出て来た一億総なんちゃら、と聞けば第二次世界大戦時に掲げられた「一億玉砕」の換言、と思っちゃうよね。軍歌「進め一億火の玉だ」は作詞、大政翼賛会。こわすぎる。まさか無意識なのか。だとしたら無邪気すぎ。

ここから先は

1,124字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、記事制作やライターさんへのお礼に使わせていただきます!