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10年10人のShit #9「マララはどの子だ?」から『かしこくて勇気ある子ども』まで/山本美希(マンガ作家)(仕事文脈vol.18)

東日本大震災から10年が経ち、終わりの見通せないコロナ禍にある2021年。「復興の象徴」とうたわれた東京五輪もトラブル続きで、もはや誰のために開催するのかわからない。この間にも広がっていく、分断や格差、政治不信。そして「Shit」な思いが積み上がっていく。
この特集では、この10年に感じたShitについて、10人の人たちに書いてもらった。その人が直面している困難や葛藤を伝えるもの、不満や怒りを口にしていいと気づかせてくれるもの。さまざまな立場から綴られた文章は、私たち自身のShitを呼び起こしてくれるはずだ。

#9「マララはどの子だ?」から『かしこくて勇気ある子ども』まで/山本美希(マンガ作家)

 2012年10月9日、当時15歳のマララ・ユスフザイさんがスクールバスでの下校中に銃撃された。昨年刊行した拙作『かしこくて勇気ある子ども』は、言ってみればそこから始まった。事件発生当時は前作の執筆中だったが、この出来事には大きな衝撃を受けた。特に、犯人たちが「マララはどの子だ?」と尋ねたのは、信じがたい驚きだった。制作で参考にした資料のメモと、制作前後に起きた個人的な出来事を交差させながら、本作を描くまでに抱えてきた疑問や怒りを振り返ってみたい。

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