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シルバニアファミリーから考える/浪花朱音(仕事文脈vol.20)

子が親になるサイクルで遊び継がれるシルバニアファミリー

 3歳の娘が、シルバニアファミリー(以下、シルバニア)で遊んでいる。彼女の机の上には動物の人形や、お店や、車なんかが窮屈そうなほど並んでいて、日々そのようすは拡張しつつある。もちろん親である私が買い与えてきたからなのだが、何を隠そう、私自身が子どもの頃から、大のシルバニア好きなのである。

 シルバニアは、1985年に日本の玩具メーカー・エポック社から登場した。「シルバニア」とは動物たちの暮らす村の名前で、その名の通り「シルバニア村で暮らす動物の家族」がテーマだ。これまでボードゲームなど「男児向け」玩具をつくっていた会社が、「女児向け」にヨーロッパで主流のおもちゃだったドールハウスを日本に持ち込んだのが、シルバニアの始まりとされている。

 90年代初頭生まれの私は、その第2次ブーム世代だ。これまでの平面的な家のスタイルでなく、「いろんなところから手を入れて遊べる」と大ヒットした「赤い屋根の大きなお家」(1994年)と幼少期をともにした世代である。当然ながら自分の親が子どもの頃にシルバニアは存在しなかったわけだが、私が生まれた頃にはすっかり、王道玩具としてシルバニアは鎮座していた。時は巡り令和、親になった我々世代が子どもにシルバニアを与えているというわけだ。「赤い屋根の大きなお家」も、その後幾度かのモデルチェンジを経て、今なお主力商品の一つとして販売されている。

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