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私の話 7

 ZINE『フェミサイドは、ある』に出てくる人たちと、実は今も連絡を取り合っている。

 たとえばChange.orgでオンライン署名キャンペーンを始めたときに賛同団体になってくれた「Alliance YouToo」さん。この間、完成した『フェミサイドは、ある』をお送りしたら、「Alliance YouToo」さんも自分たちで冊子を作っていて、ちょうど同じ8月に出来あがったということで、送っていただいた。

 これがすごくおもしろかった。この『シニア女性白書』によると、45歳以上の「シニア女性」は日本人女性の約半数を占めている。にもかかわらず、夫がいて生活に困っていないことが前提とされているために、その生きづらさが可視化されてこなかったという。
 この冊子は、自分たちもシニア女性の「Alliance YouToo」さんが、生きづらさを抱える中高年女性たちにインタビューしてまとめたものだ。こんな親を見て育ったという話や、男兄弟との扱いの差、仕事で総合職に女性がいなかったこと、結婚した夫との家事の分担の話、今自分が好きでやっていることなどなど、一人ひとりの女性たちの話がそれぞれの語りで記されている。彼女たちの生きづらさが確かにあること、その生きづらさが男女の賃金格差や性別役割分業など、ジェンダー不平等を背景として生じているということを明らかにしてくれる冊子だった。
 もし自分の母が「Alliance YouToo」さんにインタビューしてもらったら、どんな内容になったんだろうと思った。

 私が『フェミサイドは、ある』を作っていたのと同じ時期に彼女たちもこれを作っていて、なんだか嬉しかった。自分たちの話をすること、記録することには価値があると改めて思えた。

 同じくオンライン署名キャンペーンの賛同団体になってくれた「痴漢抑止活動センター」の松永弥生さんとも、たびたび連絡を取り合っている。去年はClubhouseで一緒にトークしたり、「痴漢抑止活動センター」の会報『メビウスのリボン通信』に寄稿したり、「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」の審査員をさせてもらったりした。(今年もコンテストを開催していて、11月には一般投票の2次審査もあるそう。)

 最近では、ZINE『フェミサイドは、ある』をお送りしたら「一気に2度読みした」とメッセージをくれた。

 先月、小田急線事件から1年のスタンディングデモをしたときには、去年のデモを主催してくれた石川優実さんや菱山南帆子さん、記者会見に一緒に出てくれた大学生の冨永英さん(上智大学エンパワーメントサークルSpeak Up Sophia)、小田急線事件の取材をしていたNHKの記者さんも来てくれた。記者会見を一緒にやった他の大学生たちとも、デモは日程や場所の都合がつかなかったけれど、また連絡し合っている。

 先週は、成城大学でカルチュラル・スタディーズの学会「カルチュラル・タイフーン2022」があり、今年のテーマ「雑多なフェミニズム」にちなんだフェミニズム書店街にタバブックスも出展した。

 私たちが記者会見をする際に同行してくれた田中東子先生が、ZINE『フェミサイドは、ある』を紹介する動画を「カルチュラル・タイフーン」のインスタやツイッターで載せてくれた。

 「カルチュラル・タイフーン」の開催地・成城大学は、去年、成城学園前駅ー祖師ヶ谷大蔵駅間の電車内で起こった小田急線刺傷事件の現場のすぐ近くだ。その場所で、「雑多なフェミニズム」というテーマの学会で、『フェミサイドは、ある』というZINEが置かれ、読まれるということに意味を感じた。

 2日目に私も現地参加して、田中東子先生と、梁・永山聡子先生に会えた。


 私たちにはそれぞれの活動がある。冊子を作ったり、コンテストを開いたり、ジェンダーのサークルで活動したり、デモをしたり、SNSで発信したり、アカデミックな世界でフェミニズムの学会をやったりしている。それぞれ独立してやりながら、時々こうしてお互いに連絡を取り合ったり会ったりしてゆるく繋がっている。連帯ってこういうことなのかなと思う。

 次回からは、小田急線事件から1年のデモやZINEをきっかけに再び連絡を取り合っている大学生たちと、1年後の座談会を開いたので、その様子をお届けします。


 

 




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