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編集部座談会 「標準」の外から考える家族と仕事・前編(仕事文脈vol.20)

最近、多様な家族のかたちがどんどん見えるようになってきた。その中で私たちの意識も変わってきたけれど、まだまだ固定観念は根強く、仕事や国の制度の見直しは追いついていない。ケアラー、世帯、夫婦別姓、ステップファミリー、同性婚……家族をめぐるいろいろについて、編集部の宮川真紀、小沼理、浪花朱音が語りました。

■無意識に仕事と家族を分けていた


宮川 『仕事文脈』ではこれまで「家族」っていうテーマでは特集を作っていなかったんですよね。編集スタッフも、取材する人も、仕事について語る時に家族が出てこない人に頼みがちだった気がしていて。

小沼 バックナンバーを読み返してみたら、たしかに家族や子どもの話って案外少ないですよね。vol.7の「家と仕事」では家族の話も多いけど、地元や部屋に関するものもあって、多義的です。

宮川 そもそもなんで『仕事文脈』をはじめたのかというと、いち女性として読みたいものがなかったからで。働く人向けの雑誌といえば『プレジデント』や『日経ウーマン』で、もっとオルタナティブな働き方をしている人に話を聞きたいと思ってはじめた。でも、単身者だったり、結婚していても子どもがいなかったりする人に話を聞くことが多くなっていて、無意識に「仕事観」を自分で作っていた気がします。

浪花 その感覚、わかる気がします。特に女性の場合、結婚したり子どもを持ったりした途端、家庭を中心に自分の仕事についても考えざるを得ないことも多い。一方で自分はそうなりたくないという気持ちも出てくるし。

宮川 「子育て」や「働く母」で1ジャンルになる感じはありますよね。私自身、趣味のことはネタとして提供しても、子どもとの生活の中から企画を出してはこなかった。無意識に仕事と家族を分けているんだろうと思います。でも、家族はいる人のほうが多いのに、ないようにし続けるのはどうかなって。それに家族と一言で言っても自分の親や親族と、大人になってから自分で作った家族の二つがあるし、いろんなポジションからの家族や仕事を改めて考えてみてもいいのかなと思いました。

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