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禍の靄のなかで/宮川真紀 (仕事文脈vol.16)

 『仕事文脈』は年2回刊。特集の準備は刊行後わりとすぐ、つまり発行の半年前から始まる。記録を見ると今回は、2019年12月13日、事務所に編集スタッフが集まってブレストをしたのが最初だった。発売は2020年5月、オリンピック間近か、やはりその関連? なんか見たくないよね、そもそも東京もういたくないわー、そう?東京全然楽しいけど、そんな話をカムジャタンを食べながらしゃべり続け、とにかくいろんな感情があって、特にこの年は、東京にモヤモヤする気持ちは何かしらあるのではないか、ということで、特集タイトル「東京モヤモヤ」としてスタートした。


 年明けから個々の企画を詰めていき、原稿依頼や取材交渉を進め、カフェで打ち合わせしたり、飲みに行ったり、大勢集まる会合に出たり、イベントを見に行ったり、いつものようにいろいろな場所で刺激を受けながら、新しい企画を考えていった。1月24日、中国の春節の大みそかにあたるという日、打合せで中華料理店に行ったら旅行者で大混雑。お祝いだからと店から一皿サービスされた。武漢で新種のウィルスが広まっているらしい、怖いね、マスクは一応してきたけど、と言いながら帰り道にはもう忘れていた。
 

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