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Upić się warto (酔っ払うことに価値がある)第2回 海外滞在中に子どもを授かりました、の巻/浪花朱音(仕事文脈vol.13)

北緯50度以上の国が、長い冬の終わりをむかえようとしていたところ、わたしたちの日常が一変した。慢性的な冷え性なのに、体内に熱がこもっているように感じ始めたのが、その知らせでありました。近所のApteka(薬局)に行き、妊娠チェックをひとつ購入。説明書にある「待ち時間1分」も無視し、そのプラスチックの板は陽性を一瞬にして確定したのである。というわけでこの原稿は、臨月の大きな腹でなんとか座りながら書いている。

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休日・平日問わず街中どこに行っても子ども連れをよく見る。妊婦になってわかったのは、ヨーロッパは喫煙スペースが限られているので割とどこでも行けるということ(日本滞在中は、しきりのない居酒屋もお気に入りの喫茶店も、タバコが気になって入らなかった)

夫婦で仲良くできるほうがいい

 海外で子どもを授かったとなると、まずどこで出産をするかを考えなければならなかった。結論から言うと、わたしたちはポーランドを選んだ。
 もし子育てをするならば、出産時からパートナーとふたりでしたいと思っていた。裏を返すと、まわりの友人たちがこぞって里帰り出産を選んでいたことに納得がいかなかったというのもある。出産前後から実家に戻り、身体を休め、さらに子育て経験のある母らから学びを得る、というあれである。今回がはじめての妊娠なので、よく聞く産褥期の辛さはいまひとつ想像つかない。どんな体験談を聞いても自分のことのように身体が引き裂かれるような気がするし、果てしなく遠い世界の話のようにも感じる。だけどそれ以上に、少なくとも1ヶ月、それも果てしなく大変と言われるそのひと月、ひとり(プラス実母)で小さな命を生かす責任を負うことのほうが、よっぽど恐ろしく思えた。

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