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10年10人のShit #3 Shitが溢れるインターネット空間/濵田真里(研究者)(仕事文脈vol.18)

東日本大震災から10年が経ち、終わりの見通せないコロナ禍にある2021年。「復興の象徴」とうたわれた東京五輪もトラブル続きで、もはや誰のために開催するのかわからない。この間にも広がっていく、分断や格差、政治不信。そして「Shit」な思いが積み上がっていく。
この特集では、この10年に感じたShitについて、10人の人たちに書いてもらった。その人が直面している困難や葛藤を伝えるもの、不満や怒りを口にしていいと気づかせてくれるもの。さまざまな立場から綴られた文章は、私たち自身のShitを呼び起こしてくれるはずだ。

#3 Shitが溢れるインターネット空間/濵田真里(研究者)


 インターネット空間は、女性にとって安全な場所ではない。女性のアカウントと男性のアカウントでは、見える景色が全く違うのではないだろうか。インターネットの登場当初、発言者のジェンダーに左右されないコミュニケーションが可能になるのでは、と期待されていた。ところが蓋を開けてみると、現実社会の性差別はインターネットにも蔓延している。特に、若い女性がSNS等での嫌がらせや誹謗中傷といったオンライン・ハラスメントに遭う確率が高いことは様々な調査によって明らかになっており、2020年にプラン・インターナショナルが15歳から25歳の日本人女性501人に実施した調査では、自分や知り合いの若年女性に対するオンライン・ハラスメントを「とても頻繁、もしくは頻繁に経験した」割合は51%で、「時々経験した」が24%、「経験したことがない」という回答はたった15%だった。若さ以外の要素としては、2018年の国連報告書では、国会議員を含む議員や人権活動家、ジャーナリストといった、「物言う女性」が女性の中でも特にオンライン・ハラスメントの標的となる存在として挙げられた。これは、ジェンダー平等とフェミニズムに関連する言論や表現、または女性の権利を養護する者に対する暴力や脅迫、嫌がらせの場合、より顕著になる。つまり、オンライン・ハラスメントの目的は、女性を統制および攻撃し、家父長制の規範や役割、構造や不平等な権力関係を維持および強化するために使用されると同報告書では指摘された。

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